韓国の鉄鋼メーカーPOSCO は8月25日、モンゴルで同国最大企業のMCS Group と共同でCoal-to-liquid (CTL) 事業を行うことを明らかにした。現在、モンゴル鉱山局の認可待ち。
MCSとの50/50 JV Baganuur Energy Corp.で、石炭を熱分解して合成ガスを生産、これから年産10万トンのDMEと45万トンのディーゼルオイルを生産する。200MWの発電所も建設する。
投資額は20億ドルで、2018年末の完成を見込む。
ディーゼルオイルは主に炭鉱で使用される。MCS自体が南モンゴルに炭鉱を持ち、年に20~30万トンのディーゼルオイルを使用している。
DMTはLPGよりも安く、他の化石燃料と比べカーボンや粒子の排出が少なく、大気汚染対策に役立つと期待される。
POSCOはこれを通じ、世界で10位の石炭埋蔵量を持つモンゴルで資源開発の足場を確保する。
POSCOでは、これは同社のエネルギー事業をグローバルに展開するための第一歩であり、単に利益を求めるのではなく、モンゴルの開発に貢献しうる事業を築くものであるとしている。
相手のMCSは1993年設立で、現在、エネルギー、インフラ、IT、通信技術、飲料、繊維、不動産、鉱業等、幅広い事業を行っている。
モンゴルでは燃料を輸入燃料(92%はロシアから)と低品位の石炭に依存しており、低品位石炭は大気汚染の原因となっている。
POSCOとMCSは2010年以来、問題解決手段としてCTL事業を推進してきた。
昨年、カナダのHatchを使ってFSを実施した後、本年5月にBaganuur Energyを設立した。
モンゴル政府もエネルギー問題解決の手段としてCTLに期待しており、税務上の恩典等により本計画をサポートする。
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Baganuur Energyは首都Ulaanbaatarの東方 20分のBaganuur
Districtに工場を建設、近くのBaganuur炭鉱の石炭を原料に年産10万トンのDMEと45万トンのディーゼルオイルを生産する。近くに鉄道と川があり、輸送に便利な場所である。
Baganuur炭鉱は政府が70%出資しており、埋蔵量は7億トン以上とされる。
今後60年は使用できるとされる。
Poscoは現在、全羅南道光陽市で年産50万トンの合成天然ガス(SNG)プラントを建設中で、2014年6月に生産開始を予定している。
同社によると、モンゴルのCTLプラントは光陽のプラントと75%は類似しているという。
POSCOは今回のCTL事業に加え、Ulaanbaatarで計画されている石炭火力IPP事業「Combined Heat and Power Plant No.5」において、フランスのInternational Power GDF Suez、モンゴルのNewcom Group、日本の双日との4社でコンソーシアムを組成、このたび優先交渉権を獲得した。
双日の発表(2013/7/6)によると、双日、GDF Suez、POSCO Energyの3社がそれぞれ30%、Newcomが10%の比率で出資する。
450MWの電気と587MWtの熱を作り出す熱電併給プラントを建設、2016年の運転開始で、Ulaanbaatarを含む中央地域における電力需要量(約960MW)の約50%を供給することが可能となる。
業界筋では、POSCOは、製鉄事業が頭打ちになっているためエネルギーや資源分野を拡大しようとしており、いろいろの事業で評判を確立したのちに、モンゴルで鉱山開発に乗り出すのではないかとみている。
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モンゴルではドイツのThyssenKruppもCTLプラントと熱回収コークス製造設備の建設についてモンゴル政府との契約を締結している。
2012年3月にモンゴル大統領がドイツを訪問した際に、ThyssenKrupp Uhdeとモンゴル政府はCTLプラントと熱回収コークス製造設備(窯出しされた赤熱コークスの顕熱を蒸気又は電気エネルギーとして回収するもの)の建設の2つの覚書を調印した。FSは既に実施済み。
同時に、ThyssenKruppはIndustrial Corporation of Mongoliaに対し、PRENFLO® 石炭ガス化技術をライセンスした。
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