世界第二のカリのメーカーのロシアのOAO Uralkali が200億ドルの世界のカリ市場を崩壊させようとしている。
Uralkaliは7月30日、ベラルーシのBelaruskaliとのJVのカリの輸出会社
Belarusian Potashから離脱し、輸出限度量を超えて輸出すると発表した。
来年はフル生産する。
ベラルーシ政府が同国産のカリについてBelarusian Potashに与えていた輸出独占権を取り消し、Belaruskaliが自分で輸出を始めたため、JVは機能しなくなったとし、自社のUralkali Tradingを通じて輸出するとしている。
世界のカリの生産量はカナダ、ロシア、ベラルーシが大半を占める。(米地質調査所 2011年推定)
千トン カナダ 11,200 ロシア 7,400 ベラルーシ 5,500 ドイツ 3,300 中国 3,200 イスラエル 2,000 他 4,400 合計 37,000
各国のカリメーカーは輸出会社を通じて輸出しており、事実上のカルテル組織で、輸出数量と価格をコントロールし、毎年、輸入国(中国が1位でインド、ブラジルがそれに続く)と秘密裏に交渉してきた。
輸出会社 構成メーカー Canpotex Potash Corporation of Saskatchewan(カナダ)54%
The Mosaic Company(米) 37%
Agrium(カナダ) 9%Belarusian Potash Uralkali(ロシア)
Belaruskali(ベラルーシ)
The Mosaic Companyはフロリダでリン酸、カナダでカリを生産
ロシアのSilvinitはこれまでInternational Potash Co.を通して輸出していたが、2011年にUralkaliと合併した。2010/12/25 ロシアの2大肥料会社が合併へ
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米国の需要家が2008年にカルテルで訴訟を起こし、各社は2013年1月に和解した。
Potash Corp 、Mosaic は各 $43.75 million、Agriumは$10 millionを支払った。
Uralkali は2012年9月に $12.75million を払い和解している。
Silvinit、International Potash、Belarusian Potash も訴えられている。
Uralkaliの発表は世界のカリメーカーに戦慄を与えた。
カリの価格が急落すると見られ、各社の株価は急落した。
最近のカリの価格は400ドル/トン程度だが、300ドル以下になると見られている。
Uralkaliのコストは業界最低で、62ドル程度と見られている。これに対し、北米のメーカーのコストは100ドル超、欧州メーカーは240ドル程度とされる。
Uralkaliはまた、最大の輸入国である中国と直接、鉄道でつながる唯一のメーカーで、Belaruskaliに対し、有利な地位にある。
Uralkaliにとっては、価格は下がっても数量の大幅増により、利益は維持できる見込み。
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