大塚製薬、米国Astex Pharmaceuticalsを買収

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大塚製薬は9月5日、Astex Pharmaceuticals を買収することで同社と合意したと発表した。

1株 $8.50(過去30日の株価平均に48%のプレミアム、9月3日の終値に対しては27%)で全株式を現金で買収するもので、総額は886百万ドルとなる。10営業日以内に買い付けを始め、開始後20営業日以内に終了する。

Astex Pharmaceuticalsは、分子設計創薬技術に優れた、がんと中枢神経領域に焦点を合わせたカリフォルニアに本社をおくバイオベンチャー企業で、フラグメント創薬のリーディングカンパニーとして知られる。

1991年設立の米国のSuperGen, Inc.が2011年7月に英国のAstex Therapeutics Limited を合併し、Astex Pharmaceuticals に改称した。

英国ケンブリッジにフラグメント分子設計創薬研究所と、米国カリフォルニアに臨床開発部門を有している。

フラグメント創薬とは、小さな分子フラグメントと、疾患に関与する複雑な立体構造をもつ大きな分子の標的タンパク質との相互作用を明らかにすることで分子設計し、新規化合物を創りだす技術で、NMR やX線結晶構造解析を用いて、相互作用を明らかにする創薬技術。

フラグメント技術によって、過去8年間で8つの癌と中枢神経領域における新規化合物が臨床開発段階に移行している。

現在、フェーズ2に4化合物、フェーズ1に4化合物があり、そのうち4化合物は、AstraGeneca、Novartis、Janssen Pharmaceutical(Johnson & Johnson子会社)とのアライアンス体制のもと、臨床開発が行われている。

臨床開発部門は、抗がん剤の開発に特化し、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病治療剤「静注Dacogen®」の開発に成功している。
Dacogen
は、北米においてはエーザイが、その他の地域においてはJohnson & Johnson子会社のJanssen Pharmaceuticalが販売している。

DacogenはSuperGenが開発した。

SuperGenは2004年9月にMGI PHARMA, INC.にDacogenの全世界の独占権を与えた。

MGI PHARMAは2006年に7月に、Dacogenの北米以外の権利をJohnson & Johnsonの子会社のJanssen にサブライセンスした。

エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つMGI PHARMA を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結、米国子会社の100%子会社とした。

この結果、現在はエーザイが北米、残り地域はJanssen がDacogenを販売している。

大塚製薬では、今回のアステックス社の買収は同社の目指すがん領域のポートフォリオ拡充のみならず、中枢神経領域の創薬研究の強化にもつながるものと期待している。

Astexのフラグメント創薬技術と、大塚製薬の強みである中枢神経領域の研究を組み合わせることによって、新たな作用メカニズムの中枢神経領域の医薬品を届けられると期待している。

また、臨床開発力にも優れたAstexの買収で、がん領域のポートフォリオを拡充するとともに、大塚製薬の抗がん剤開発体制を強化する。

大塚製薬の主力製品の統合失調症治療薬「エビリファイ」が全世界で売上高を伸ばしているが、2015年4月に米国で特許切れを迎える。
2013年3月期の連結売上高1兆2180億円のうち、エビリファイが4385億円(うち米国は3361億円)を占めており、特許切れ後の対応としての一手が注目されていた。

Astexの最近の損益状況は下記の通り。(百万ドル)

  2012 2011 2010
売上高 ロイヤリティ 71 61 53
開発費収入 12 6 1
合計 83 67 53
営業費用 開発費 60 44 28
管理費 16 17 9
その他 14 4 0
合計 90 65 37
営業損益 -7 2 16
税引前損益 -5 2 16
純損益 8 5 16

 

 

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