カザフスタンのカシャガン油田、生産開始

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国際石油開発帝石(Inpex)は9月12日、子会社インペックス北カスピ海石油が参加するカザフスタンの北カスピ海沖合鉱区にある世界有数の巨大油田の
Kashagan油田 が9月11日より最初の生産井から原油の生産を開始したと発表した。

Kashagan油田は、カザフスタン共和国アティラウ州の州都アティラウの南東約80キロ、水深3~5メートルの浅海の海底下4,200メートルに位置し、縦横75km x 45kmの規模を有する巨大油田。2000年に発見され、2004年に商業的発見宣言を行った。

Kashagan油田は原始埋蔵量で350 億バレルの原油を有する世界でも有数の巨大油田で、この鉱区では南西カシャガン、アクトテ、カイランおよびカラムカスと4 つの既発見未開発構造を確認している。これらの開発で、将来、生産量が大幅に増加する可能性を有している。

なお、後記の通り、中国にCNPCの本計画への参加が決まった。

今回の生産開始は第一次開発分で、初期生産として日量18 万バレルの生産量が計画されており、その後日量37 万バレルまで生産量が引き上げられる予定。
 

インペックス北カスピ海石油は7.56%の権益を有し、本プロジェクトの操業会社であるNorth Caspian Operating Company(NCOC)を通じて、海外の大手石油会社と共に開発作業を推進してきた。

インペックス北カスピ海石油は 1998年 8月に設立された。
出資比率は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が50% 、Inpexが45% 、石油資源開発と三菱商事が各2.5%となっており、JOGMECが債務保証をしている。

これまでの開発投資額は412億ドルで、インペックス北カスピ海石油は31億ドルを負担した。

インペックスでは権益分の石油を他の石油会社などと原油のスワップ取引を行い、日本へ同等量の原油を供給する方針。

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Kashagan油田は、当初は2008年にも商業生産が始まる予定だったが、2010年後半に延期され、開発費も大幅に増加した。

これに対して、カザフスタン政府はスタートアップの遅延に不満を持 ち、介入した。

契約見直しでの石油販売取り分の増加(10%を40%に修正)を 要求
・2007年8月、開発工事に環境面その他で違反があったとして3カ月停止
の処分
・同年9月、首相が、
KazMunaiGasを主要共同開発者とするよう要求
   「要求を受け入れなければ他の手段に訴える」とも述べ、外資の免許剥奪などの可能性も示唆
同じく9月 に下院が、外国企業との契約を一方的に破棄する権限を政府に与える法案を全会一致で可決した。

2007/9/6 カザフスタンの石油開発中断

2008年1月14日、カザフスタン政府はKashagan 油田の持分変更で合意したことを発表した。
他の権益者に合計 17.8
億ドルを支払い、国営KazMunayGas持分を倍増し、トップ4社に並んだ。
スタート時期は
2011年末に延期された。

 

ConocoPhillipsは2012年に世界中の資産の見直しを行い、Kashagan 油田の権益をインドの国営石油探査会社のONGCに50億ドルで売却する契約を締結した。

これに対し、KazMunaiGas は本年7月、先買い権を使って、これを買収することを決めた。

中国の習近平国家主席は9月7日、カザフスタンの首都アスタナで同国のナザルバエフ大統領と会談した。
両国の元首は両国関係の発展状況について総括し、今後の協力に関する全面的な計画をまとめ、全面的戦略パートナーシップを深めることについて重要で幅広い合意に達した。

両首脳の見守るなかで、KazMunaiGasと中国のCNPCは、Kashagan 油田の権益 8.33%を約50億ドルでCNPCに売却する契約に調印した。
10月末までに取引が完了する。
これにより、インドのONGCの進出可能性は潰れた。

CNPCは同時に、KazMunaiGasに対し、Kashagan 油田の2020年以降の第二次開発に必要な資金の半分をカバーするため、30億ドルを支払う

これとは別に、カザフスタンの国営企業 Baiterekが産業プロジェクトを推進するのに対し、中国開発銀行と中国輸出入銀行がそれぞれ、30億ドルと50億ドルの借入保証を行う。

これらの結果、Kashagan 油田の権益の推移は下記の通りとなる。

  当初 2008/1 現状 備考
インペックス北カスピ海石油  8.33% 7.56% 7.56%  
Eni   18.52%   16.81%   16.81%  
ExxonMobil 18.52% 16.81% 16.81%  
Shell 18.52% 16.81% 16.81%  
TOTAL 18.52% 16.81% 16.81%  
ConocoPhillips  9.26%  8.40% 0% ONGCに売却KazMunaiGas に売却
KazMunaiGas  8.33% 16.81% 16.88% 先買権行使し、Conocoから8.40%購入。
CNPCに8.33%を売却
CNPC(China)     8.33% KazMunaiGas から購入
ONGC (India)     0% Conocoと契約するが、KazMunaiGas に取られる。

中国とカザフスタンを結ぶ石油パイプラインが完成しており、CNPCはこれを経由して原油を中国に送ることができる。

2006/5/29 中国-カザフ石油パイプライン正式稼動





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