ブラジルの南東部沖合にある大規模な海底油田「Pre-Salt」の開発権を巡る入札が10月21日に初めて実施され、Total、Shell、中国石油天然気集団(CNPC) 、中国海洋石油(CNOOC)のコンソーシアムが落札した。
Pre-Salt はブラジル沖合のエスピリトサント盆地、カンポス盆地、サントス盆地の大水深に存在する延長約1,000km、幅数100kmに及ぶ大水深・大深度の新プレイの呼称。
ペトロブラスは2007年11月、サントス盆地のTupi石油・ガス田の可採埋蔵量は原油換算で50~80億バレルであると発表、プレソルトの海域全体に大量の炭化水素資源が埋蔵されている可能性があるとの見解を表明した。その後、サントス盆地のプレソルトではJupiterガス・コンデンセート田、Guara油田、Iara油田などが発見された。
カンポス盆地のプレソルトでもMarlim、Albacora Lesteなど岩塩層の上部ですでに生産を行っている油田の下のプレソルトで発見が続いている。
地図: http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4328/1103_out_l_br_presalt.pdf |
今回の入札の対象鉱区は、2010 年にPetroBrasが 国家石油庁の委託を受けて発見した Libra地区。回収可能埋蔵量は原油換算 80 億~120 億バレルを上回る。
新しいルールでは、政府の利益を代表し、生産分与契約の管理を行う政府機関 Pre-Sal Petroleo 及びPetroBrasとコンソーシアムを組むこと、PetroBrasがオペレーターとなり、最低限30%のシェアを持つこと、組成企業数は最大で5社となっている。
この結果、開発は下記の体制で行われる。
PetroBras 40% Total 20% Shell 20% 中国石油天然気集団(CNPC) 10% 中国海洋石油(CNOOC) 10%
当初、ポルトガルのGalp、スペイン・中国資本のRepsol- Sinopec、マレーシアの Petoronas、インド資本の ON-GC、コロンビアの Ecopetrol、日本の三井物産など11社が入札参加を 表明していたが、最終的に参加したのは落札した企業連合だけであった。最低価格の150億レアル(70億ドル)で落札した。
契約では、油田そのものは政府所有のままであり、参加する外国の4社は石油の一定分を受け取る。
コンソーシアムは初期の調査・開発費用を控除した後、利益の41.65%をブラジル政府に支払う。
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今回の入札に関して、労働組合連合などがブラジルの天然ガス資産を外国資本に安売りするものだとし、反対している。
入札に反対するデモ隊を鎮圧するために、連邦政府は1,110人の軍隊を投入して警備にあたらせ、会場に乱入しようとする組合員などに催涙ガスやゴム弾を発射した。
PetroBrasの元役員も、「Pre-Saltは既に発見済みであり、入札など必要ない」とし、国は主権を放棄しているとして入札禁止を求める訴訟を行った。
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