オリックス、韓国STX Energyの持株の一部をLGとGSのコンソーシアムに売却へ

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オリックスは2012年12月にSTX GroupからSTX Energy の持株を一部取得し、本年7月には残りの持株も全て買い取り、持株比率を96.3%とした。

但し、今回の買い取りは一時的に追加取得するものであり、オリックスが株式の過半数を継続保有して経営していくものではなく、近々、新たな韓国の事業パートナーに経営を移譲する予定 であるとしていた。

今回、オリックスの保有するSTX Energy株式のうち、約60%について入札が行われ、最終入札では、LG Chem とGS Energy のコンソーシアムが一番札となった。 近く売却が行われる予定。

入札にはLG Chem とGS Energy のコンソーシアムと、POSCO、Samtan (エネルギー関連企業)が参加した。
予備入札に参加したSK E&Sは取り止めた。

GSグループは2005年1月にLGグループの分離で誕生したもので、LG Chem はLG International を通じて歴青炭の輸入を行っており、GS Energy は発電事業を行っている。

なお、LG ChemとGS Energyはそれぞれ、熊津ケミカル の入札に参加、東レに敗れている。

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STX Energyは、韓国でコジェネ事業、卸電力(IPP)事業、油類事業などを手掛けるエネルギー事業会社。

主力事業であるコジェネ事業では、現在、韓国国内2ヵ所の産業団地内で大型コジェネ発電所を運営
IPP事業では、韓国電力公社(KEPCO)の子会社の韓国東西発電との共同出資で、韓国初の民間企業による石炭焚き IPP事業として、韓国江原道にて高効率で環境負荷の少ない1,190MWの超々臨界圧石炭火力発電所の開発を進めている。

同社はSTX Groupの子会社であった。

STX Groupは釜山近くに本拠を置く産業グループで、造船業を主としている。
1976年に双龍重工業として創業したが、アジア通貨危機で双龍グループが解体され、STX Groupに改称した。

造船・海運業を中核とするSTX Groupは、造船・海運不況の影響を受けて経営環境が悪化していた。

オリックスは2012年12月、STX Energy に資本参加すると発表した。
STX Group および少数株主が保有する普通株式を譲り受け、さらにSTX Energyが新たに発行する優先株式を引き受けることで、最大49.9%の持分を取得するとした。


韓国では、産業用を中心に電力需要が政府予想を上回って拡大しており、慢性的な電力不足に陥っていることから、高効率な超々臨界圧石炭火力発電を活用したIPP事業の需要が高まると期待されており、オリックスは、STX Energyの共同経営を通じて、韓国の電力市場での事業拡大を図り、電力の安定供給に寄与することを目指すとした。

具体的には、STX Group から43.1%を 3600億ウォン(約332億円)で買収 、合わせて450億ウォン(約42億円)規模の交換社債などを獲得した。

STX側によると、資金難解消のため売却するが、オリックスは純粋な「財務的投資家」を自認しており、経営権はSTXが維持される条件であった。

〔以下、韓国の新聞報道から。オリックスの説明はなく、同社の真意がどうであったかは不明〕

STX Groupは、資金繰りが悪化し2013年5月に債権銀行団の管理下に入ったが、流動性危機が深化した2013年4月23日 に、オリックスは交換社債を株式に変えて6.95%の持ち分を増やし、一気に持ち分比率 50.1%の最大株主になった。事前にSTX Groupとの協議はなく、通知さえなかったという。

続いて契約時に挿入された「STX Energyの資産価値が下落する場合、その下落分だけ新株を発行してオリックスが無償で全量確保することができる」という規定により、持株率を最大88%まで増やし、STX Energyの経営権を確保しようとしたとされる。

STX Energyは子会社 STX Solar(87%出資)や海外資源開発鉱区を保有しているが、STX Groupの構造調整作業のなかで、STX Solarの持分評価額が低くなったり、海外鉱区を(安く)売却した。

STX Groupでは、STX Energyの保有株式と経営権を私募ファンドのHahn & Companyに売却する案を推進しており、これにより、4000億ウォンの資金調達が可能になると見ていたが、これが出来なくなることから、STX関係者は 反発、「オリックスは危機に乗じて安値でSTX Energyを飲み込もうとしている」と述べた。

オリックスの動きに対しSTX Group側は、契約には、オリックスが交換社債を株式に切り替えて持ち分を増やした場合、STX Groupの会長がコールオプション(株式買収請求権)を行使してその分を取り戻せるという決まりがあり、これを行使しようとした。
また、Hahn & Companyとの間でSTX Groupの持分の43.2%を譲渡する覚書を締結した。
更に、経営権防御のため、民事・刑事上の対応も検討したとされる。

STX Energyの他の株主は、STX Group とオリックスの最初の譲渡契約のオリックスに無償で新株を与える条項は株主平等の原則に反し、既存株主の権利を侵害する契約であるとし、無効の訴えを起こした。

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この後、Hahn & Companyが株式取得を見送ると通知したとされ、STXグループの主要債権行である韓国産業銀行が動き、両社の間で和解が成立した模様で、オリックスは7月29日、以下の発表を行った。( )は新聞報道

オリックスは同日、STX Groupから同社が保有するSTX Energyの全株を(約2700億ウォンで)取得した。
これにより、オリックスの持株比率は96.3%となる。

これは一時的に同社株式を追加取得することで合意したもので、オリックスが株式の過半数を継続保有して経営していくものではなく、近々、新たな韓国の事業パートナーに経営を移譲する予定。

 STX Groupは、売却代金を会社債の償還、運営資金などに使う。

  


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