クラレは11月21日、DuPont
から同社のPackaging &
Industrial Polymersの一部であるビニルアセテート
(Glass Laminating
Solutions/Vinyls)関連事業を 543
百万ドル+在庫相当額で買収する契約に調印した。
所管当局の正式な承認を経て、2014 年前半の完了を目指す。
買収対象事業は、安全ガラスの中間膜として使用されるポリビニルブチラール(PVB)シート、ビニルアセテートモノマー(VAM)、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂などで、建築分野・自動車分野等広範な産業分野において使用される製品群を有しており、当該事業の年間売上高は500 百万ドル以上となっている。
工場所在地は以下の通りで、他に、北中南米、欧州、日本、韓国、中国等に販売等の拠点があり、従業員は約600人。
米国: 3ヵ所(テキサス州、ノースカロライナ州、ウエストバージニア州)
欧州: 2ヵ所(ドイツ、チェコ)
アジア:1ヵ所(韓国)
デュポンコリアの蔚山工場ではブタサイト(合わせガラス中間膜PVBシート)を生産している。
他の工場の生産品目や能力は今のところ不明。
クラレは 世界に先駆けてビニロン繊維の原料としてPVA の工業化に成功(昨日の記事参照)、ビニルアセテート関連事業のパイオニアとして、PVA 樹脂、PVB 樹脂・フィルムのほか、液晶ディスプレイや洗剤個包装などに使用されるPVA フィルム、食品包装やガソリンタンクなどに使用されるEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂(クラレ商標<エバール>)、アスベスト代替のセメント補強材料などに使用されるPVA 繊維ビニロンを世界的に展開している。
DuPontのVA 関連事業に携わる世界中の人材、技術力・開発力および生産・販売網は、今後の持続的成長に貢献するとしている。
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クラレの2012年4月の中期経営計画「GS-Ⅲ」説明会での 同社の構想は以下の通り。
同社の現状は以下の通り。(今回のDuPontからの購入は含まず、数字は能力:千トン) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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日本:
酢ビ:1983年に中条工場の天然ガス法酢ビ(86.4千トン)を休止。
ポバールフィルム:
2007年初めは西条3100万m2、玉島3000m2の合計6100万m2であったが、
現状は 1億8000万m2となっており、2013年6月には西条増強で合計2億1200万㎡まで拡大する。
西条工場の増強では大型液晶テレビ用偏光フィルムのための幅5000mmの広幅タイプの生産ができる。
アジア:
クラレは1996年10月、シンガポールに日本合成化学との50/50JVのPoval Asia を設立したが、2008年1月付けでクラレ 100%になった。
2008年7月にアジア・オセアニアのポバール樹脂販売会社Kuraray Specialities Asia と統合し、Kuraray Asia Pacificとした。
欧州:
1) PVA、PVB事業
クラレは2001年にClariantのPVA、PVB事業を買収、Kuraray Specialities Europe GmbH を設立した。
工場はフランクフルトで、能力はPVA 50千トン、PVB 16千トンであった。その後増強。
2006年9月にKuraray Europeが吸収合併した。
2) PVBフィルム
2004年11月にRütgers AGの子会社HT Troplast社から買収した。
工場はドイツのトロイスドルフで、能力は26千トンで、2007年に34千トンに増強した。
これにより、PVA樹脂→PVB樹脂→PVBフィルムの一貫体制を完成2012年3月、世界的なPVBフィルムの需要拡大(特に新興国を中心に伸長する自動車用途)に対応し、増強を決定(能力非公表)。2013年11月稼働目標。
3) Eval Europe
1999年にベルギーのアントワープでエバールの生産を開始した。
4) MonoSol (ポバールフィルム)英国:下記
米国
当初、Eval Company of America を設立し、1986年にテキサス州パサディナでエバールを生産開始した。
その後、 Kuraray Americaに吸収合併した。2011年1月に酢ビ・ポバール事業の拡大のため、エバール工場の近くに土地を購入。
2012年にPVA樹脂40千トンの建設決定(2014年9月完工予定)MonoSol:
クラレは2012年5月、米国のポバールフィルムのメーカーのMonoSol社を買収すると発表した。
MonoSolは、洗剤・農薬・染料などの個包装、人工大理石離型用など産業用ポバールフィルムではリーディングカンパニーの位置にある。
本件買収により、クラレはポバールフィルムに関し、偏光フィルム向けの光学分野だけでなく、広範な産業分野においてもグローバルリーダーとなるとしている。
工場は米国と英国。
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