旭硝子は11月6日、ベトナムの塩ビ事業会社 Phu My Plastics & Chemicals の持分78%を取得することについて、現株主のマレーシアの Petronas Chemicals Group と合意したと発表した。三菱商事も同時に15%を取得する。
Phu My Plastics & ChemicalsのPVC生産能力は10万トンで、原料VCMはPetronasから供給を受けている。
ベトナムには他に、タイのThai Plastics &
Chemicals (TPC) のTPC
VINA Plastics and Chemical (能力
17万トン)がある。
ベトナムは約9千万人の人口の成長余力の大きい市場であり、年率5%以上の安定した経済成長が見込まれ、同国の塩ビ市場は、東南アジアでインドネシア、タイに次ぐ規模であり、経済発展に伴う需要拡大により、2020年には現在の5割増の規模となる見込み。
旭硝子はインドネシアとタイに生産拠点を持ち、苛性ソーダ・塩素から塩ビまでを一貫生産する東南アジア地域最大級のクロール・アルカリメーカー。
インドネシアのAsahimas は、旭硝子が52.5%、三菱商事が11.5%出資し、残りを現地資本(Rodamas 18%、Ableman Finance 18%)が出資する。
タイのAGC Chemicals (Thailand) は旧称 THASCO Chemical で、2002年に現地合弁相手(スリフンフン・パニチュワ・グループ) の全持分(47.9%)を買収し、出資比率を92.9%に高めて子会社化した。
Phu My
は成長するベトナムの塩ビ樹脂市場で3割を超えるシェアを有しており、旭硝子は今後、ベトナムでの事業展開を本格的に始動することになる。
また、旭硝子のPVCのグローバル生産能力は、インドネシアにおける増強と合わせて現行の30万トンから倍増以上の65万トンとなる。
旭硝子は日本では、PVCの生産委託先である呉羽化学がPVC事業を大洋塩ビに譲渡するのを機に、2002年12月にPVC樹脂の販売から撤退した。
VCMについては、現在も京葉モノマー(年産20万トン)を運営している。
京葉モノマー株主のクレハ(25%出資、引取枠25%)は塩化ビニリデン用を除き、引取権を大洋塩ビに譲渡した。旭硝子は他に、タイとパキスタンにPVCのJVを持っていた。
タイのThai Plastic & Chemicals(TPC)は当初、地元のCEグループ、旭硝子のTHASCO Chemical、及び三井グループ(三井物産・三井東圧)のJVとして設立された。
2004年に 旭硝子が持株をSiam Cement 等に売却、三井グループも売却、現在はSiam Groupの子会社となっている。旭硝子は1997年にパキスタンで同国初の本格的塩ビ樹脂製造販売会社 Engro Asahi Polymer & Chemicalsを設立した。旭硝子 30%、三菱商事 20%、地元 Engro 50%出資で、PVC能力は10万トン。
同社は2007年に、事業拡張を巡る思惑の違いやカントリーリスクなどを考慮して撤退した。
旭硝子では中期経営計画 "Grow Beyond-2015" の主要施策として新興地域戦略の強化を掲げており、大きく成長する東南アジアでの事業を積極的に推進していくとしている。
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Phu My Plastics & Chemicalsは当初、米国のOccidental
と丸紅に現地2社を加えた4社で計画した。
その後、Occidental が撤退、代わりにマレーシアの Petronas が参加、その後更に出資に変更があった。
Occidental Petronas 旭硝子 三菱商事 丸紅 VietGas PetroVietnam Tramatsuco Vung Tau
Shipyard当初 40% ー ー ー 30% 15% ー 7% ー 1996年 ー 40% ー ー 30% 15% ー 7% ー 2000年 ー 50% ー ー ー ー 43% 7% ー 2007~ ー 93% ー ー ー ー ー ー 7% 今回 ー ー 78% 15% ー ー ー ー 7%
なお、ベトナムのもう一つのPVCメーカーのTPC VINA Plastics and Chemical も最初は三井化学のJV Mitsui Vina Plastics & Chemical であった。
三井化学 36%、三井物産 10%、Thai Plastics & Chemicals 24%、Vinaplast 15%、Fercemco 15%
三井化学と三井物産の両社は、2000年8月末までに日本側が持っていた株式をThai Plastics & Chemicalsに譲渡を完了、事業撤退した。
当初のTPC VINA の能力は8万トンであったが、TPCは2007年にMap
Ta Phut で新しく
120千トン設備を稼動させるに際し、Bangkok
近郊のSamutprakarnにある古い設備2基計9万トンのうち、3万トン設備を廃棄、6万トン設備をベトナムに移設し、デボトルネッキングを行って9万トンとした。
これを含め、現在の能力は17万トンとなっている。
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