独立行政法人医薬基盤研究所と大日本住友製薬ほか、新規結核ワクチンの共同開発に向け基本合意

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下記3社は11月8日、ヒト パラインフルエンザ(Human parainfluenza viruses )2 型ウイルスベクター技術を用いた新規結核ワクチンの共同開発を実施することについて基本的に合意したと発表した。2013 年12 月までに共同開発契約を締結する予定。

独立行政法人医薬基盤研究所 「次世代ワクチンの研究開発」を重点領域の一つとして位置付け、次世代ワクチンおよびその免疫反応増強剤(アジュバント)の開発ならびにそれらの投与法の研究開発を行っている。
NPO 法人 AERAS 本部:米国メリーランド州
世界中のパートナーと協力して結核ワクチンを開発する非営利団体
アカデミア、製薬企業、バイオベンチャーとのグローバルな提携を通じて、6 つの結核ワクチン候補品の開発に関与、前臨床、臨床開発、免疫学およびワクチン製造における専門知識・技術を提供している。
クリエイトワクチン
(右2社のJV)
大日本住友製薬 ワクチン事業への参入を計画
日本ビーシージー製造 BCG ワクチンの、製造、販売、輸出を通じて、結核ワクチン事業に関する豊富な経験を有す。


結核は 3 大感染症の一つであり、世界では 1 年間に新たな患者が約 860 万人発生し、約130 万人が死亡している。
特にアジア、アフリカ諸国に多く蔓延しており、日本においても、毎年2 万人以上が感染し、2 千人以上が死亡している。

既存のワクチンにおいては、乳幼児に対しては極めて高い効果が認められるが、成人の肺結核に対する効果は乏しく、新規結核ワクチンの開発が望まれて いる。

既存の結核予防ワクチン(BCG:パスツール研究所の研究者の名前を冠した菌:Bacille Calmette-Guerinの頭文字をとったもの)は、牛に感染する牛型結核菌を時間をかけて弱めたもの。

青年や成人にBCG を打っても、肺結核の感染を予防する効果は認められていない。

本剤は、基盤研の有するヒトパラインフルエンザ 2 型ウイルスベクター技術を臨床応用した粘膜ワクチンであり、開発に成功すれば本技術を用いた世界初の結核ワクチンとなる。

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医薬基盤研究所は国立医薬品食品衛生研究所大阪支所を主な母体に、国立感染症研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の組織の一部を統合して、2005年4月に創設された。

厚生労働省所管試験研究機関の再編成の一環として、規制と振興の分離を図りつつ、創薬支援に関わる組織を一体化して、医薬品・医療機器の開発支援をより効果的に進めようとするもの。

医薬基盤研究所では、スーパー特区「次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェクト」を推進している。

政府は、革新的技術の開発を阻害している要因を克服するため、研究資金の特例や規制を担当する部局との並行協議などを試行的に行う「革新的技術特区」、いわゆる「スーパー特区」を創設した。
これは、従来の行政区域単位の特区でなく、テーマ重視の特区(複合体拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体)であることなどを特徴としている。 2008年度より、その第一弾として「先端医療開発特区」を創設し、最先端の再生医療、医薬品・医療機器の開発・実用化を促進する。

従来型の経験的なワクチン開発手法には限界があることから、分子生物学的手法(免疫学、遺伝子工学等)を用いた「次世代交付加価値型」の感染症ワクチンへの転換が不可欠とし、新型インフルエンザ、マラリア、エイズなどの感染症に対するワクチンを実用化しようとするもの。

この一環として、ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)をベクターとして粘膜免疫誘導型結核ワクチンの開発を試みた。

多くの病原体が消化器や呼吸器等の粘膜面から感染を成立させるため、感染防御には粘膜と全身の両者の免疫反応を誘導する粘膜ワクチンが必要である。

ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)に抗酸菌分泌タンパクであるAg85B遺伝子を導入し、呼吸器粘膜に対する結核菌ワクチン(hPIV2/Ag85B)を作製した。

hPIV2は病原性が殆ど無く、M遺伝子を欠損したhPIV2は生体内で複製できないことから、本研究におけるM欠損hPIV2はさらに安全なベクターと考えられる。

マウスにこれを吸入し、高病原性結核菌を気道内に投与したところ、明らかな感染防御効果が認められた。

2010年に国際特許を申請した。

AERASが支援を表明、2012年に研究開発でのHead of Agreementを締結した。

本年に大日本住友製薬と日本ビーシージー製造が参加を決め、基盤研、AERAS と共に結核ワクチンの開発を行い、商業化を進めるため、本年7月31日にクリエイトワクチンを設立 した。

 



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