国有企業改革は不十分(事前に大幅な改革が行われるとの観測があった)
   公有制を主体とするのは中国の社会主義市場経済体制の根幹
   そのなかで、非国有資本の出資を認める、石油や電力などは「競争性のある価格」にすることを目標
  国庫納付金(配当)を2020年までに利益の30%に引き上げ
  (現在、たばこ20%、石油・電力15%など5段階、平均10%程度)
   
出産政策を徐々に調整・改善し、人口の長期的な均衡発展を促す
   計画生育政策という基本的な国策を堅持し、一方が一人っ子である夫婦は2人目の子どもを出産可能に
   
定年年齢を徐々に引き上げる
   
農業移転人口の市民化を推進し、条件に合致する農業移転人口を徐々に都市部住民としていく
   戸籍制度改革を加速し、建制鎮と小型都市の移住制限を全面的に緩和、中型都市の移住制限を秩序よく緩和
 特大型都市の人口規模を厳しくコントロール
   
指導幹部の勤務生活保障制度を規範的かつ厳格に実施
   基準を超えた公務接待を禁止し、規定や基準に反した待遇享受などの問題を厳しく取り締まる
   
所得分配の秩序を規範化
   違法な収入を取り締まり、低所得者の収入を増加させ、中等所得者の比重を拡大
   都市・農村間や地域間、業種間の所得分配の格差縮小
   ラグビーボール型の分配局面を形成


付記

国有企業改革が不十分であったことについて、毎日新聞(11月21日)は「リコノミステリー」として報じている。

「リコノミクス」とは中国の首相、李克強氏の経済改革政策である。今年3月、全国人民代表大会(議会)で表明した。

中国の成長力も落ちた。規制緩和によって国有大企業の特権を廃し、市場経済化を進めて民間活力を引き出そうというのがリコノミクスだ。となると、「大型国有企業」と結びついた共産党内の特権集団から激しい抵抗が出る。石油閥あり、電力閥あり、不動産業界、金融業界、通信業界との癒着あり......共産党内でそれぞれの権益集団代表がにらみをきかせている。

(今回)リコノミクスの具体化になると思われていたが、結果は大違い。李克強首相が関与していなかった。リコノミステリーだ。

中国では、経済政策の提案は首相か副首相が行うのが慣例だ。今回の3中全会では習近平総書記が自ら決議案の趣旨説明演説をした。あまり普通のことではない。

習氏は演説のなかで「公有制経済を守る」と断言した。要するに国有企業の権益を守る一方で、国有企業からの国庫上納金を増やそうという改革案だ。

習近平政権は構造改革という険しい道を避けて、目先の安定を求めた。持続的成長への挑戦を回避した。

リコノミクスは消え去るのみ。