暁星、ナイロンを上回る新素材ポリケトンを開発

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韓国の暁星は11月4日、ポリケトンの開発・商業化に成功したことを発表した。

ポリケトンはエチレンと一酸化炭素を原料とする環境に配慮した高分子素材。

 

暁星では「ポリケトンはナイロンに比べて耐衝撃力が 2.3 倍強く、化学物質に対する安定性は 1.4~2.5倍に上る。耐摩耗性も従来の最高レベルのPOM比 14倍以上、気体遮断性も現存する素材の中で最も優れたエチレンビニルアルコールと同等の水準である」とし、「自動車の燃料系統の部品、電子製品の内・外装材などで脚光を浴びるだろう」と説明した。

暁星の李相雲副会長は「一酸化炭素を原料とする環境にやさしい低炭素の素材」、「1938年にナイロンが開発されて以降、75年ぶりに登場した革命的な素材 」としている。

韓国紙は「ポリケトンは1970年代以降、Shell などが量産化に挑戦していたが、触媒剤の開発から上手くいかず、失敗続きだった 」とし、「世界初の商用化」とはやしている。

暁星は2004年に趙錫來会長の「今まで世の中になかった素材を開発せよ」との指示で研究を始め、10年間に500億ウォン(約46億円)を投資した末、ようやく独自開発に成功した。
国内 133件、米国・欧州・中国、日本など海外 27件の関連特許出願・登録を終えている。

2012年3月に蔚山の龍淵工場に1000トン規模の生産施設を作り、試験稼動を行って おり、最近1年間で韓国・ドイツなど約100社に試作品を供給し、その品質について認証を受けている。

暁星は2年以内に2000億ウォンを投資し、年産5万トン規模のポリケトン工場を建てる計画 で、2020年まで1兆500億ウォン台の追加投資を検討している。

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日本では旭化成が独自の重合技術と紡糸技術により開発された世界初のポリケトン繊維を開発、「サイバロン」と名付けた。
独自の湿式紡糸技術により、技術化した新しいタイプの繊維で、特に接着性、耐疲労性、耐薬品性、加工性に優れており、その接着性・耐疲労性を生かして、タイヤなどのゴム資材や電子材料用途を目指した。

2001年にポリケトン繊維の開発を明らかにし、その後新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)の基盤技術研究促進事業にも採択され、2002年から5年間で約5億円の資金援助も受けて開発を進めた。2006年にパイロットプラントを稼動させた。

同社では2009年度に年産2000トンの設備を導入するとしていたが、最終的に事業化に至らず、2010年に事業化研究を中止した。

同社はその後、パイロットプラントを活用して、ポリケトン樹脂を使用した多孔膜を開発した。

ナノサイズで制御された微多孔構造とポリケトン独自の特性により、機能性フィルターやセパレーター材料、細胞培養基材、再生医療母材などの用途展開を図っている。

 

 

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