韓国産業通商資源部は12月10日、第2次国家エネルギー基本計画案(2013~2035年)を発表した。
電力に占める原子力発電の比率を2035年に29%とした。
2012年末時点の韓国の電源比率は原子力が29.5%で、石炭が39%、LNGが22.4%、太陽光など再生可能エネルギーが2.1%であったが、トラブルや不祥事で停止が相次ぎ、現在の原発比率は26.4% となっている。
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李明博前大統領は2008年に、産業振興と原発推進を掲げ、2030年の原発比率を41%に高める目標を掲げた。
しかし、福島第一原発の事故や、韓国での原発関連の不祥事が続いたこともあって反原発の世論が強まった。
このため、原子力発電政策を推進から維持へと転換、エネルギー計画を検討する官民合同の作業部会は、2035年の全電源に占める原子力の比率を22~29%にすると提言した。
今回、この範囲(22~29%)内で最も高い数値に目標を設定した。
計画案によると、最終エネルギー需要は2011年から年平均
0.9%増加し、2035年には石油換算 2億5410万トンになる見通し。
このうち電力が占める比率は27.6%に抑える。電力需要の年平均増加率は2.5%。
この需要見通しに基づき温室効果ガスの削減やエネルギー安保などを総合的に考慮した結果、原発比率は29%水準を目標とすることにした。
原発業界によると、2035年に原発比率を29%とするには計40~42基の原発が必要。
現在の韓国の原発は、稼働中が23基(20,716千kw)、建設中が5基(6,600千kw)、計画が6基(7,600千kw)となっており、建設中・計画の11基以外にさらに6~8基の建設が必要となる。
発電単価の安い原発が、2030年の原発目標比率41%から引き下げられたことで、電気料金が値上げされる可能性も指摘されている。
原発の発電単価は1kw時当たり47.08ウォン(約 4.6円)と、石炭(65.10ウォン)やLNG(125.2ウォン)に比べはるかに安い。
韓国では電気代が安く、日本企業の韓国進出の理由のひとつになっている。
東レは炭素繊維工場建設について、「日本では電気料金がどれだけ上がるか分からないので、積極的に韓国への投資を増やすことにした」と説明した。電気代の安い第一の理由は、発電単価の安い石炭と原子力で発電電力量の約8割をまかなっていることだが、これに加えて、韓国の電気料金は「政策的料金」という位置づけのもと、料金をコスト以下に設定している。
韓国政府は1960‐70年代から、企業の原価負担を減らして国内の物価を安定させ、輸出競争力を強化する目的で、産業用電気料金をほかの用途(家庭用・商業用)に比べ安くしてきた。
2011/9/28 韓国の電力事情
産業通商資源省は本年11月に、電気料金はガスや灯油などの価格と比べて安すぎるとの認識を表明、「持続的な調整が必要だ」との考えを示した。
同省は11月21日から、産業用電気料金は 6.4%、住宅用は 2.7%、平均電気料金は5.4%引き上げた。
2013年1月には政府は電気料金を4.0%引き上げており、電気料金の引き上げ率は10%に達する。
韓国では現在、原発の停止が相次いで停電の恐れが懸念されているが、今後は電力料金の大幅アップの可能性もある。
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現在の韓国の原発の状況は以下の通り。
各原発の詳細は 2013/5/31 韓国の原発10基が稼動中断、夏の電力不足憂慮
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