イラクで2つの石油化学計画

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イラクで2つの石油化学計画が検討されている。
一つはShellの計画で、もう一つは韓国のHanwha Chemicalによるものである。

1)Shell

Shellは2012年4月にイラクでの石化コンプレックス建設に関するFS実施の覚書を締結した。
2013年11月12日にShellのCEOのPeter VoserがBaghdadでイラク首相と会談した。
近く、石化計画実施の覚書が締結されるとみられている。

構想では南部イラクに110億ドルを投じて石化コンプレックスを建設する。
Nebras計画
(アラビア語で "beacon of light")と呼ばれ、エタンクラッキングでエチレンを製造する。

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ShellはイラクでMajnoon油田の開発を行っている。

イラクの石油第二次入札で落札、2010年1月にShell(60%)とPetronas(40%)が20年間の契約を締結した。
国営石油会社Missan Oil が開発に加わり、Shell がオペレーターとなっている。

Shellはまた、三菱商事と組んで、イラク南部での油田ガス回収事業を行っている。

イラク内閣は2010年6月に計画を承認した。
Basra Gas Companyを設立、イラクが51%出資し、シェルが44%、三菱商事が5%出資した。

所要資金は120億ドル(将来170億ドルまで増える可能性あり)で、イラク南部の4つの巨大油田ー RumailaZubairWest Qurna Phase 1Majnoon油田ーでそのまま燃やされている付随ガスを回収、当初はイラクの電力不足解消のため発電に使用、将来は液化設備をつくり、最大日量6億立方フィートの輸出を行う。

2010/7/6 シェルと三菱商事、イラク南部で油田ガス回収事業

2)Hanwha Chemical

韓国のHanwha Chemicalは12月19日、イラク産業省次官との間で、40億ドルを投資し、イラク南部にエチレン生産設備や石油化学製品生産工場などを建設する計画の合弁事業意向書を締結した。

今後、イラク政府と具体的に事業性を検討する。

低コストの原料をほかに先駆けて確保し、原価競争力を得ようという戦略。

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イラン・イラク戦争(1980-88)前にはイラクには2つの石油化学計画があった。

Petrochemical-1 (PC-1)、PC-2と呼ばれ、いずれも国営石油化学企業 State Enterprise for Petrochemicalsが所有、運営するものであった。

PC-1はペルシャ湾近くのKhor Al-Zubair(Basrahの南方)にあり、1970年代後半にLummus と Thyssen Rheinstahが建設した。
PC-2はバグダッド南部のMusayibにあり、イラン・イラク戦争で建設が中断、
1988年の戦争終結で建設を再開した。

1991年にイラクはクウエートに侵攻して湾岸戦争を起こした。PC-1、PC-2 ともに爆撃を受け、大きな被害を受けた。
PC-2は2003年のイラク戦争の後、停止したままとなっている。

現在、PC-1はBasrah petrochemical complex と呼ばれ、State Company For Petrochemical Industries(SCPI)が運営している。
実際の稼働状況は不明だが、公称能力は以下の通り。

Plant Licensor 能力 千トン
エチレン Lummus 132
HDPE Phillips 30
LDPE Equistar 60
VCM Stuffer 66
PVC Stuffer 60
液塩/苛性ソーダ Oxytch/Zarmba 42/84


原料はRumaila油田からパイプラインで受け入れる。
LDPEの農業用フィルムも生産している。





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