Braskemは12月17日、SolvayからSolvay Indupaの70.59%の持ち株を290百万米ドルで買収する契約を締結したと発表した。
政府の認可を得た後、TOBを行い、一般株主の残り持ち株を買い取り、100%子会社にする。
Solvay Indupa はブラジルのSanto Andre工場とアルゼンチンのBahia Blanca 工場で苛性ソーダとPVCの生産を行っている。
両工場の能力は、PVCが54万トン、苛性ソーダが35万トン。
付記
アルゼンチンの証券監督官は2014年1月3日、買取価格が公正な市場価格より低いとして、これを認めないと発表した。
他に、公正取引当局の審査もある。
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Solvayは2013年5月、INEOSとの間で欧州の塩ビ事業を統合し、50/50JVとする覚書に調印した。現在、独禁当局の審査中。
Solvayは将来、塩ビ事業から撤退することを決めている。
なお、Solvayの統合対象は欧州の塩ビ事業だけであり、アルゼンチンとブラジルに工場を持つ子会社のSolvay Indupa とタイのJVのVinythai はSolvayに残る。
2013/5/15 Solvay、欧州塩ビ事業をINEOSと統合、将来塩ビ事業から撤退
Solvayは今回の売却発表にあたり、Solvay Indupaは同社にとって2012年第4四半期以降、売却対象資産("Asset held for sale")であったとしている。
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Solvay
は2007年12月に、子会社のSolvay
Indupa がブラジルのSanto
Andre工場の拡張を行なうと発表した。
ビニルチェーンの拡大とともに、サトウキビ原料のエタノールからのエチレン製造プラントを含んでいる。
バイオエチレンの能力は6万トン。
Santo Andre工場の既存能力は苛性ソーダ10万トン、VCMとPVCが各24万トンだが、増設後は苛性ソーダ23.5万トン、エチレンが6万トン、VCMとPVCが各36万トンとなるとしていた。2007/12/21 ソルベー、ブラジルでバイオベースのエチレン 製造
しかし、2011年の時点で、バイオエチレンは未だ検討中としており、完成したという発表や報道はない。
今回の発表をもとにすると、Solvay Indupa の能力は下記の通り
と思われる。(千トン)
苛性ソーダ VCM PVC バイオ
エチレンSanto Andre, Brazil
( ) は2007年の計画100→170
(235)240→330
(360)240→330
(360)
0→( 60)Bahia Blanca, Argentina 180 210 210 合計 280→350 450→540 450→540
ブラジルでは三菱化学と日商岩井が参加するPVC/VCM JV のCPCとEDCメーカーのSalgemaが1996年末に合併しTrikemとなったが、2003年にBraskemが買収した。
CPC (PVC/VCM)
(株主)
Odebrecht 61.67%
年金基金 5.00%
三菱化学 19.04%
日商岩井 14.29%1996/末 合併でTrikem に
(株主)
Odebrecht 69.47%
年金基金 7.09%
三菱化学 13.41%
日商岩井 10.06%
2003 買収 Braskem 99.99%
PVC 514千トン
VCM 540千トン
EDC 1,180千トンSalgema (EDC)
(株主)
Odebrecht 95%
BraskemはPVCを戦略製品と見ており、2012年8月にはAlagoas州のMarechal
Deodoroに10億レアル(4億3千万ドル)を投じて200千トン
のVCM、PVCプラントを完成させた。(原料のEDCは現在余剰となり輸出している分を利用)
Solvay Indupaの子会社化により、Braskemの生産能力合計はPVCが125万トン、苛性ソーダが89万トンに達する。
PVC能力(千トン)
既存 新設 合計 Argentina Solvay Indupa Bahia Blanca 210 Brazil Santo Andre 330 Trikem Alagoas 260 200 460 Camaçari 250 250 合計 510 200 1,250
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