韓国の産業通商資源部は2013年12月5日、インドネシアのバリ島で開催された韓国と豪州との自由貿易協定(FTA)交渉が実質的に合意したと公表した。
2014年の上半期までに批准したいとしており、発効すれば豪州は韓国と11番目のFTA協定国になる。
韓国の残りの品目(9.2%)については、コメ、粉乳、果実(リンゴ、梨、柿など)、大豆、ばれいしょ、水産物(カキ、明太子など)など171品目 (1.4%分)は除外、牛肉などの492品目は10年以上かけて撤廃するとした。
また、貿易救済として、韓国の牛肉、精製糖、麦、トウモロコシなどの品目にはセーフガード措置を導入する。
一方、韓国の豪州向け主要輸出品である自動車関連品目については、豪州側が中型車(1500~3000cc)と小型車(1000~1500cc)の即時撤廃、自動車部品は3年以内に撤廃する 。
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韓国は米国、EU、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド)、ASEAN10ヵ国、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結しており、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称している。
韓国政府は11月29日、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への「関心」を公式に表明し、事実上、交渉への参加の意思を明らかにした。
今回の豪州を含めると、TPP交渉参加の12か国のうち、8カ国とはFTAを結んでいることとなる。
(非締結は、日本、ニュージーランド、カナダ、メキシコ)
日本はFTA締結国の数では韓国より多いが、米国、EU、豪州と締結できていない。
韓国 (11) | 日本 (13) | TPP参加国 (日本含め12) |
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ASEAN | 物品貿易 2007年6月1日発効 サービス貿易 2009年5月1日発効 投資分野2009年9月1日発効 |
2008年12月から順次発効 | ||
シンガポール | 2006年3月2日発効 | 2002年11月発効 | ○ | |
マレーシア | 個別には発効していないが、ASEANとして既に発効済み | 2006年7月発効 | ○ | |
タイ | 2007年11月発効 | |||
インドネシア | 2008年7月発効 | |||
ブルネイ | 2008年7月発効 | ○ | ||
フィリッピン | 2008年12月発効 | |||
ベトナム | 2009年10月発効 | ○ | ||
インド | 2010年1月1日発効 | 2011年8月発効 | ||
オーストラリア | 2013/12 実質合意 | --- | ○ | |
ニュージーランド | --- | --- | ○ | |
トルコ | 2013年5月1日発効 | --- | ||
米国 | 2012年3月15日発効 | --- | ○ | |
カナダ | --- | --- | ○ | |
メキシコ | --- | 2005年4月発効 | ○ | |
チリ | 2004年4月1日発効 | 2007年9月発効 | ○ | |
ペルー | 2011年8月1日発効 | 2012年3月発効 | ○ | |
コロンビア | 2013年2月21日 正式署名 | --- | ||
EFTA | 2006年9月1日発効 | --- | ||
スイス | (EFTAとして締結) | 2009年9月発効 | ||
EU | 2011年7月1日暫定発効 | --- |
参考
米通商代表部(USTR)
のCutler次席代表代行は12月12日、ワシントンの戦略国際問題研究所で開かれた「韓国のTPP参加」というセミナーで、「韓国はTPP参加に先立ち、韓米自由貿易協定(FTA)履行に関する懸念事項から解決する必要がある」とし「議会と利害当事者が心配している韓米間の懸案」として、▼原産地表示をめぐる論争▼金融サービス分野の資料共有▼自動車分野の非関税障壁▼有機農製品に対する認証--の4つを列挙した。
「韓国の行き過ぎた原産地認証要求でFTAを締結しても関税による恩恵が減っている。韓国政府が問題を解決することを望む」とし「韓米FTA
2周年の来年3月15日に金融サービス分野に関する合意が発効するだけに、きちんと履行するよう保障しなければならない」と主張した。
また自動車分野に関し、「米国自動車業界は韓国が近く施行するbonus-malus(自動車の二酸化炭素排出量に基づく補助金または過怠金)制度による不利益を懸念している」と指摘した。
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