現在のロシアの法律では、Gazpromのみが天然ガス、LNGを輸出する権利を持っているが、国内のLNG生産拠点
はサハリン南部の1つしかない。
他社がLNGプラントを建設しても、Gazpromを通してしかLNGを輸出できない。
天然ガス輸出はパイプラインを利用した欧州向けに依存しているが、2012年には欧州の景気低迷のあおりでロシアの天然ガス輸出は前年比で約9%減少した。
プーチン大統領は「ロシアが世界のLNG供給で3.6%しか占めていない」とGazpromに対する不満を示しており、2013年2月13日にLNG輸出の段階的な自由化を検討するよう政府に指示した。
プーチン大統領は2020年までに年間輸出量を現在の約1千万トンの4倍に引き上げる目標を掲げた。
自由化により天然ガス開発を促進し、日本や中国をはじめとするアジア諸国への輸出拡大を目指す。供給先の多角化に加え「シェールガス革命」で加速する米国などのLNG輸出攻勢に対抗する思惑もある。
パイプラインによるガス輸出は、今後もGazpromが独占的に行う。
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プーチン大統領の輸出自由化検討指示を受け、 Novatek や Rosneft は準備を進めており、対抗してGazpromも計画をたてている。
1)Novatek | |||||||||
Novatekは、ロシアの独立系天然ガス生産・販売会社で、天然ガス生産量はGazpromに次いでロシア国内2位である。 Novatekの主要株主は、プーチン大統領の旧友でもある石油トレーダーのゲンナジー・チムチェンコのルクセンブルクのファンドVolga-Resourcesが20.77% 、Gazpromが10%などとなっている。 | |||||||||
日揮は2013年4月、フランスのTechnipと共同で、Yamal LNGがロシアのYamal-Nenets自治区Sabettaで進めるLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等に係る発注内示を受けたと発表した。 Yamal LNGはロシアの天然ガス第2位のNovatekが80%、Totalが20%出資する。 Yamal LNGはYamal半島のSouth Tambeyガス田に年産1,650万トンのLNGプラントを新設する計画で、第1期550万トンを2016年末に操業、同能力の第2期、第3期をそれぞれ2017年末、2018年末に稼働させる。 同ガス田の天然ガス埋蔵量は昨年末時点で9,070億立法メートルとなっている。
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2) Rosneft | |||||||||
Rosneftは丸紅などとサハリンの天然ガスを供給源とする年産1千万トンのLNG工場の建設を計画
している。 Rosneft とExxonMobilは2013年6月 に、2011年に締結した戦略的協力協定の進展状況を発表した。
このなかに、ロシア極東でのLNGプラント建設がある。
Rosneft のSechin社長は、サハリン1計画に30%出資するサハリン石油ガス開発(SODECO;石油公団・伊藤忠・丸紅等のJV)や同じく20%出資するインドのONGC
Videshを参加させる可能性があると述べた。
Rosneft は6月21日に丸紅及びサハリン石油ガス開発(SODECO)との間でLNG供給の覚書(Heads
on Agreement)に調印した。
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3)Gazprom | |||||||||
資源エネルギー庁とロシア国営ガス会社Gazpromは2011年1月、ロシア東部での協力推進に関する合意文書に調印したと発表した。 | |||||||||
内容は、 ・ウラジオストク周辺におけるLNG製造プラント建設に関するPre-FEED(初期設計前段階)、 ・CNG(圧縮天然ガス)生産・海上輸送、 ・ガス化学製品の生産 に関する共同FSを2011年末までに完了するというもの。
事業遂行のため、2010年12月6日に新会社「極東ロシアガス事業調査」が設立された。
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伊藤忠商事、石油資源開発(JAPEX)、丸紅、国際石油開発帝石(INPEX)及び伊藤忠石油開発が出資する極東ロシアガス事業調査㈱ とロシア国営ガス会社の Gazpromは2013年6月22日、ウラジオストクにおけるLNGプロジェクトに関するMOUに調印した。 | |||||||||
Gazpromは現在、サハリン2の天然ガスをサハリン南端のPrigorodnoyeにあるロシア唯一のLNG施設(サハリンエナジー所有)で液化し、日本に供給している。
Gazpromは、LNG輸出事業の一環として、サハリンからハバロフスクを経由しウラジオストクに延びるガス輸送用パイプラインの敷設を進めている。プリゴロドノエに次ぐ国内2番目のLNGプラントをウラジオストクに建設し、LNGを輸出する計画である。
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