中国無人探査機、月面に軟着陸

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中国の月面探査機「嫦娥3号」が12月14日午後9時すぎ、月の「虹の入り江」に軟着陸した。
旧ソ連、アメリカに続いて世界で3番目となる。

日本は2007年9月に月周回衛星「かぐや」を打ち上げ、約1年半にわたり月を周回しながら様々な観測を行った。2009年6月に月面の狙った地点に衝突させた。

今後、6輪の無人探査車「玉兎号」を走行させて地質調査などを始める。

玉兎号は時速200 メートルで移動し、3カ月にわたって月面を探査、表面の画像を撮影するほか、レーダーを使って地下100メートルまでの地質を調べる。
月の土壌には核融合発電の燃料となる「ヘリウム3」が豊富にあるとされ、チタンなど有用な鉱物資源も存在する。

 

中国は2017年頃に探査機を再び月面に送り、土壌の一部を地球に持ち帰り、2020年以降に独自の宇宙ステーションの運用を開始し、月面に宇宙飛行士を送り込む構想を持っている。

中国の嫦娥計画は、国家的プロジェクトとして推進している月探査計画で、将来的には有人による長期滞在を目指し、2003年3月1日に正式に開始された。「探査計画」、「着陸計画」、「滞在計画」に分かれる。

嫦娥1号(総重量は2,350 kg)は、2007年10月24日に打ち上げられ、月の高度約200キロメートルを1年間にわたって周回し、科学的な探査を行った。

嫦娥2号は2010年10月1日に打上げられた。
月面から高度 18.7km まで接近して、虹の入り江地域を撮影した。
予定していた回数よりも少ない噴射で高い精度の軌道を得ることが出来たので、余った推進剤で月周回軌道を離脱させ、2012年12月13日には地球近傍小惑星 トータティスに最接近した。

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嫦娥3号は12月2日午前1時半、四川省の西昌衛星発射センターから、大型ロケット「長征3号B」で打ち上げられた。
月への軌道に乗り、制御に必要な電力を得る太陽光発電パネルを広げることに成功した。

打ち上げから月面着陸までに8日間も月を周回したことについて、中国航天科技工業集団は以下の通り説明している。

月面の昼ごろの高温下では、嫦娥3号は最小活動モードに入る。
高温になる前に月面探査車と着陸機の分離をするため、嫦娥3号は午前中に着陸しなければならない。この時間上の制限のために、嫦娥3号は数日間飛行する必要がある。

次に、嫦娥3号は既定時間に予定地点の「虹の入り江」に着陸するためには、8日前後の周回飛行が必要となる。

44年前のアポロ11号の場合は、月周回軌道に入ったわずか1日後に月面着陸を実現した。
これは、有人飛行か無人飛行かの違いによる。

アポロは有人で、短時間での帰還が必要なため、軌道調整を繰り返して静かの海の軌道面に到着した。
軌道調整に必要な大量の燃料を積んだため、科学機器を最小に押さえざるを得なかった。搭載していた物資ではそれほど長い月面活動を支えることもできなかった。


中国の専門家は、着陸には以下の難しい問題があると指摘している。

・最終着陸地点の選択

狭い範囲の地形の状況は把握できておらず、岩にぶつかったり、クレーターにはまる恐れがある。

空気がないため、空気摩擦による減速が不可能

伝統的なロケットエンジンと推進システムでは不可能で、推進力を連続調節できるエンジンを開発したが、初めての使用となる。

・人間が干渉できる可能性はほぼゼロで、全自動での着陸となる。

嫦娥3号は完全に独力でコントロールを実施し、降下・着陸地点の確定、軟着陸など一連の重要な動作を完了しなければならない。

・月面粉塵の付着、探査機故障の可能性も

 



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