BPは1月15日、2035年までのエネルギーの需給予想 "BP Energy
Outlook 2035" を発表した。
http://www.bp.com/content/dam/bp/pdf/Energy-economics/Energy-Outlook/Energy_Outlook_2035_booklet.pdf
エネルギー需要は2012年から2035年までの間に41%増加する(年率1.5%)。過去23年間では55%の伸びであった。
2020年までは年率2%だが、それ以降は年率1.2%に減る。
需要の伸びの95%は
non-OECD諸国のものであり、中国とインドが増加分の半分以上を占める。
2035年にはnon-OECD諸国のエネルギー消費は2012年の消費より69%増える。
北米・欧州・アジアの先進国(OECD諸国)の伸びは非常に緩やか(5%増)で、2030年以降は経済は成長するがエネルギー消費は下落し始める。
エネルギーソース別では2035年時点で化石燃料(石油、天然ガス、石炭)はそれぞれが全体のほぼ27%を占め、原子力、水力、再生可能エネルギーは5~7%となっている。
石油:
石油の需要の伸びは平均して年率0.8%の伸びと、主要燃料では最も伸びが少ない。
需要の伸びの殆どは中国、インド、中東である。
石油の供給増は主に米大陸と中東で、半分以上はnon-OPEC である。
米のタイトオイル、カナダのオイルサンド、ブラジルの深海油田とバイオ燃料が他のソースの減少を補う。
OPECのシェアは早い時点で減少する。
天然ガス:
石炭:天然ガスは化石燃料のなかで最も伸びが大きく、需要は年率1.9%で増える。
Non-OECD諸国が需要の伸びの78%を占める。
産業用と発電用の需要が大きい。
LNGでの輸入はガスの消費の2倍以上の伸び(年率3.9%)で増え、2035年までのガスの需要増の26%を占める。
シェールガス供給は天然ガスの需要の伸びのうちの46%をカバーする。2035年には世界の年々ガスの21%、米国の天然ガス生産の68%を占める。
北米のシェールガスの生産の伸びは2020年以降は緩やかになり、他の地域の生産が増えるが、それでも、2035年時点で北米のシェールガスは全世界のシェールガス生産の71%を占める。
石炭は石油に次いで伸びは緩やかで、2035年までの需要の伸びは年率1.1%である。
2020年以降の伸びは0.6%にとどまる。
需要の伸びは中国とインドのみにとどまる。両国の需要の合計は2012年で世界の58%、2035年では64%にも及ぶ。
その他:
核エネルギーは2035年まで年率1.9%で伸びる。
中国、インド、ロシアが増加分の96%を占め、米国やEUはプラント停止で減少する。水力発電は年率1.8%で増加、増加の半分が中国、インド、ブラジルである。
部門別の需要推移は下記の通り。
BP のCEOのBob Dudleyは3つの大きな問題点を指摘する。
1)需要の伸びに応じた供給があるか? (Supply sufficient ?)
2)確実に供給できるか? (Secure?)
3)供給した後は?(Sustainable ?)
Bob Dudleyの答えは以下の通り。
1)の答えは Yes であるとする。
需要の伸びが過去よりも緩やかなのは省エネのお陰である。
技術、投資、政策の動向を見ると、供給はついてくると言える。
シェールガス、タイトオイル、再生可能エネルギーのような新しいタイプのエネルギーが供給の伸びの大きな部分を占める。
2)についてはいろいろな見方があるが、明るい見通しの方が強い。
米国はエネルギー輸入国から自給国に変わりつつあるが、欧州や中国、インドの輸入依存度は増える。
アジアはエネルギー輸入で大きな割合を占める。
大消費地域に向けた新しいサプライチェーンができ、市場が機能すれば心配はない。
3)sustainabilityについては、
グローバルな二酸化炭素排出量は29%増加し、伸びの全ては途上国である。
天然ガスや再生可能エネルギーが石炭や石油に取って代わる、欧州や北米の排出量は減少が見込まれるなど、明るい兆しがある。
多くの先進国で経済は伸びるがエネルギー消費は減ると思われる。
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