ベトナムのグエン・タン・ズン首相は1月15日、国営石油会社ペトロベトナムとの会合 で、今年中に予定していた第一原発の着工が2020年ごろまで延期される可能性があるとし、4基計4000MWの原発の代替 として5000MWの発電所用の天然ガスを確保するよう指示した。
ベトナムでは福島原発の事故後、原発の安全性強化を求める声が強まり、事業化調査に時間がかかっている。人材育成や法整備も遅れ、関係者の間では着工時期がずれ込むことは確実視されていた。
首相は「原発建設は安全が最優先で、基準を満たさなければ実行しない」と語った。
日本が受注した第二原発は同省のビンハイに予定されており、総事業費は1兆円規模で、2021年と22年の稼働を目指していたが、炉型の選定も済んでいない。 この建設計画にも影響が出ると思われる。
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ベトナム政府の電力マスター・プランによると、ベトナム国内の電力需要は2005年から20年までの間で年率10%で増加し続け、電力供給は逼迫する。
(アジア開発銀行では、2015年までは年率14%で、以降は11%で増加するとみている。)
現在、総発電量の3割以上を占める水力発電は建設可能な水域が少なくなり、火力発電は資源価格の高騰や二酸化炭素排出の問題を考慮すると増設は困難となっている。
このため、ベトナム政府は2010年6月、2030年までに原子力発電所を計14基(計1500 万~1600万キロワット)建設・稼働するとした原発開発方針を承認した。
立地 タイプ 能力 MWe 建設 運転開始 Ninh Thuan省
Phuoc Dinh1号機 VVER-1000/428 1060 ロシア 2020 2号機 VVER-1000/428 1060 2021 3号機 VVER-1000 1000 2023 4号機 VVER-1000 1000 2024 Ninh Thuan省
Vinh Hai1号機 未定 850-1000 日本 2021 2号機 850-1000 2022 3号機 850-1000 2024 4号機 850-1000 2025 3~4箇所 6基 2026~ 2030
6基の候補地(3~4箇所)は、Quang Ngai省Duc Thang 又はDuc Chanh、Phu Yen省Xuan Phuong、Binh Dinh省Hoai My、Ha Tinh省Ky Xuanとなっている。
このうち、計4基(計400万キロワット)が国会が承認済みである。建設予算は4基で約200
兆ドン(約1兆円)と言われている。
同国初の原発となる予定のフォック・ディン地区の2基はロシアへの発注が決まっており、2014年に着工し、1号機が2020年、2号機が2021年に運転を開始する計画であった。
2010年10月31日、グエン・タン・ズン首相と当時の菅直人首相がハノイ市で会談し、ビンハイ地区で計画されている原子力発電所第2基の建設について、日本を戦略パートナーとすることを発表した。
続いて、日本原子力発電は2011年2月にベトナム電力公社との間で原子力発電導入に関する協力協定を結んだ。
当初の計画によると、2011年度中に事業化調査の請負契約を締結し、その後1年から1年半程度かけて調査を行い、建設候補地の地盤調査、環境影響調査の結果のほか、必要な発電容量の試算、原子炉のタイプの選択肢なども提示するとされている。
同年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原発の事故発生を受けて、日本側で海外への原発輸出及び技術支援の前提となる原子力協定の国会承認プロセスに遅れが生じたが、2011年12月9日、第179回国会でベトナム、ヨルダン、ロシア、韓国との原子力協定が承認され、2012年1月21日に発効した。
特定非営利活動法人メコン・ウォッチは、以下の「懸念される問題点」を挙げ、これに反対している。
・原子力発電所が内在している事故のリスク
・日本で解決されてない問題の輸出
放射性廃棄物、特に使用済み燃料の処理問題
・税金投与の正当性
一部の企業への利益誘導
・ベトナムの社会状況に起因する問題
民主的な議論 情報公開の不足
地元の住民、少数民族は情報アクセスが困難
施工・運転リスク
汚職・腐敗・ガバナンス
・日本のエネルギー大量消費の構造の輸出
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