財務省は2月10日、2013暦年の国際収支状況(速報)を発表した。
円安により輸入金額が増大し、それに対して輸出数量が伸びなかったことから、貿易収支の赤字幅が拡大、所得収支の黒字幅拡大を相殺し、経常収支の黒字幅は比較可能な1985年以降で最少となった。
ドル・円相場(インターバンク直物相場・東京市場中心値の年中平均レート)は以下の通り。
2013年 97.71円/米ドル
2012年 79.79円/米ドル
前年比 22.5%の円安ここでの貿易収支は決済ベース。内容の詳細は、通関ベースを参照。
2014/1/28 2013年の貿易赤字、過去最大11兆円
一方、資本収支では円安による外人投資家の日本企業の株式投資が急増、過去最大の流入超過となった。
1.経常収支 (貿易収支は決済ベース)
金額 前年比 貿易・サービス収支 ▲12兆2,349億円 ▲3兆9,308億円 赤字幅拡大 貿易収支 ▲10兆6,399億円 ▲4兆8,258億円 赤字幅拡大 輸出 66兆9,694億円 +5兆5,273億円 +9.0%増加 輸入 77兆6,093億円 +10兆3,532億円 +15.4%増加 サービス収支 ▲1兆5,950億円 +8,950億円 赤字幅縮小 所得収支 16兆5,318億円 +2兆2,595億円 黒字幅拡大 経常移転収支 ▲9,908億円 +1,538億円 赤字幅縮小 差引 経常収支 3兆3,061億円 ▲1兆5,176億円 黒字幅縮小▲31.5%
貿易収支は決済ベース
通関ベース(確報値)
輸出 69兆7,868億円 輸入 81兆2,671億円 貿易収支 ▲11兆4,803億円 サービス収支:「輸送収支」「旅行収支」「その他サービス収支」がともに赤字幅を縮小
所得収支:直接投資に係る配当金・配分済支店収益の受取増加等により直接投資収益が増加
証券投資に係る債券利子等の受取増加等により証券投資収益も増加
(昭和60年以降では、既往最大の黒字額)
なお、四半期別には第4四半期は経常収支で初めて赤字となった。
貿易収支の赤字は増加傾向にあり、市場は2010年代中に日本が経常赤字に転落し、財政赤字と「双子の赤字」を抱えるリスクを警戒し始めていると報じられた。
2.資本収支
2013年 2012年 資本収支 4兆6,090億円 ▲8兆1,878億円 うち 日本からの投資 対外 直接投資 ▲13兆1,943億円 ▲9兆7,782億円 日本企業による海外子会社の増資引受け等 対外 株式投資 6兆6,197億円 2兆1,351億円 銀行等(信託勘定)が売り越し幅を拡大 対外 中長期債投資 ▲3,136億円 ▲17兆 484億円 銀行部門が売り越しに転じた 海外からの日本への投資 対内 直接投資 2,232億円 1,382億円 海外親会社による本邦子会社への出資等 対内 株式投資 17兆 118億円 2兆3,512億円 過去最大の流入超 円安による日本株投資増大 対内 中長期債投資 ▲1兆3,942億円 2兆7,195億円 中長期国債が売り越しに転じた
財務省は同日、2013年12月末の国債及び国の借入金の残高を発表した。初めて1000兆円を超えた。
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