三菱ガス化学は2月5日、連結子会社で、ポリカーボネート及びポリカーボネートコンパウンドの製造を行う三菱瓦斯化学工程塑料(上海)が118億円の減損損失を計上したと発表した。
中華圏におけるポリカーボネート市況は、供給過剰と需要の停滞により、低迷が続いており、市況回復の遅れにより減損の兆候が認められたため。
三菱瓦斯化学工程塑料(上海)は素材生産からコンパウンド、テクニカルサービスの一貫拠点を構築するもので、2012年6月に商業運転を開始したばかり。
同社は2009年7月に設立された。
社名:菱優工程塑料(上海) その後、現社名に変更
株主:三菱ガス化学 80%
三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP) 20%
立地:上海市 上海化学工業区
能力:PC 製造設備(界面法)年産80千トン、その後100千トンまで増設予定
造粒設備 年産 60千トン
コンパウンド設備 年産 28千トン
テクニカルセンター:2011 年8 月より先行して運営開始
販売:三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)
三菱ガス化学は、2009年4月よりスタートした新中期経営計画で、PC 事業を"伸びる・勝てる"コア事業のひとつと位置づけ、PC需要の中心である中国にPC の総合拠点を設立し、界面法PCを積極的に展開することで、「ユーピロン®」ブランドを確固たるものとし、PC 事業の一層の強化・拡充を進めるとしていた。
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三菱グループでは三菱化学もPC事業を行っている。
三菱化学と三菱ガス化学は1994年3月に両社折半出資で三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)を設立、両社のエンジニアリングプラスチック事業の販売を統合した。
製造についてはそれぞれが行い、新しく設立する海外子会社にはMEPが出資している。
但し、タイのThai PolycarbonateはMEPとして設立している。
中国においては、三菱化学が同じ2009年の5月に北京にSinopecとのJVのPC樹脂と原料BPAを製造するJVを設立しており、いずれもMEPが参加しているものの、グループとして統一した戦略に立っているようには見えない。
三菱化学は後述の通り、欧州でDSMのPC事業を取得している。
両社のPC事業の状況は下記のとおり。(千トン)
日本 | 韓国 | タイ | 中国 | 備考 | ||
三菱化学 | 黒崎 | 60 | ||||
三養化成 | 麗川 | 120 | 三養社 50%、三菱化学 25%、MEP 25% | |||
中石化三菱化学聚碳酸酯(北京) | 北京 | 60 | SINOPEC 50% 投資会社 50%(三菱化学:80%、MEP:20%) 他に、BPA 150千トン生産 |
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Thai Polycarbonate | バンコック |
140 |
MEP 60%、三菱ガス化学 5%、三菱化学 5%、TOAケミカル 30% | |||
三菱ガス化学 | 鹿島 | 110 | 2002/4 70千トン増強 | |||
大阪 | (25) | 2002/9 停止 | ||||
三菱瓦斯化学工程塑料(上海) | 上海 | 80 | 三菱ガス化学 80%、MEP 20% |
三菱化学は2010年2月、Royal DSMとの間で事業の交換(ポリカーボネート事業の買収及びナイロン事業の売却)で合意したと発表した。
DSM Engineering Plasticsが欧州を中心に展開しているPC事業を欧州三菱化学へ譲渡する。
但し、DSMはPCレジンは製造しておらず、Dowから供給を受けている。欧州三菱化学は、MEPヨーロッパを総代理店としてPC樹脂を販売する。
欧州三菱化学からDSM Engineering PlasticsへPC樹脂コンパウンド品の欧州における生産を委託する。三菱化学はオランダGeleenのChemelot Research and Technologyの構内にR&Dセンターを設置する。
2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意
三菱化学は2009年5月、植物由来のポリカーボネートの開発及び量産化に向け、黒崎にパイロットプラントを建設することを決定したと発表した。能力 300トン/年。
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