旭化成と三菱ケミカル、水島地区エチレンセンター集約で合意

| コメント(0) | トラックバック(0)

 

旭化成と三菱ケミカルホールディングスは2月25日、水島地区の両社エチレンセンターの集約で合意したと発表した。

(経緯)

両社は水島地区に隣接して各年産50万トンのエチレン設備を運営している。

19672月、石油化学協調懇談会が「エチレン製造設備の新設の場合の基準」(30万トン基準)を決め、新規増設を認めた際に、輪番投資のため、三菱化成と山陽石化(旭化成 60%/日本鉱業 40%)が、ともに50/50出資で、水島エチレン(三菱化成内=先番)と山陽エチレン(山陽石化内=後番)を設立した。

 


両社は2009年6月に水島コンビナートでエチレン事業を統合することを検討していることを発表した。

2009/5/19  三菱化学と旭化成、水島でエチレン統合

その後、中国需要の急回復で統合を急ぐ必要性が薄れたこと、3年後をメドに2基のうち1基を停止・廃棄する考えだったが、どちらの設備を止めるかで交渉が難航したことで、一時は破談の危機を迎えたとされる。

設備能力削減については将来の需要をみて統合会社で柔軟に判断するとの方針に転換し、1年遅れで合意にこぎ着け、2010年5月に水島地区エチレンセンターの統合について発表した。

2010/6/2  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合の共同出資会社の設立

両社は折半出資で西日本エチレン有限責任事業組合を設立し、2011年4月から、水島地区の両社のエチレンセンター事業の一体運営を開始した。エチレン需要3割減を前提とした減産体制を取り、更にエチレン需要が縮小すれば、その時点でエチレンを1基に集約するとした。

2011/3/1  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合のためのLLP設立

その後、国内需要の縮小、中東・中国での供給能力拡大、シェールガス革命を背景とした米国での供給能力拡大など、石油化学事業を取り巻く環境は今後も厳しさを増していくものと予想されるに至った。

両社は現行の体制のままでは事業存続が困難になるとの共通認識のもと、2013年8月に、両社の水島地区におけるエチレンセンターを 1基に集約し、最適生産体制による効率的な事業運営を確立することで合意した。

2013/8/5   水島地区エチレンセンター集約へ

ーーー

今回、下記の通り、水島地区の両社エチレンセンターを1基に集約することで合意した。
 

(1)集約時期 2016年4月
(2)集約方法 三菱設備に集約し、旭化成設備は廃棄。
(3)対象製品 エチレン、プロピレン、C4、分解ガソリン(C5、ベンゼン、トルエン、キシレン、C9などの混合物)、
粗水素その他の副生ガス(メタン、エタン、プロパン)、ヘビーエンド
(4)集約後の運用形態 両社折半出資の株式会社を設立しエチレン設備を共同運用
(5)集約後の生産能力 57万トン/年(非定期修理年)
圧縮機の主要部品(ローター)の交換を行い、現状の50万トン/年(非定期修理年)から増強する。
 

旭化成は同時に、国内石油化学事業の基盤強化策を発表した。

  現状 対策
エチレン 水島   500千トン 2016年4月停止、三菱化学との設備集約(計1000千トン→570千トン)
ANM 川崎   150千トン 2014年8月停止
水島     100千トン 他製品の生産に特化
   200千トン 3拠点体制 国内市場
韓国    560千トン 韓国・台湾・中国市場
タイ     200千トン アセアン市場
計     1210千トン 計 960千トン
SM 320千トン 2016年3月停止
390千トン 国内市場及び自社消費中心
ABS 65千トン 2015年12月停止
SBラテックス 水島     24千トン 2015年12月停止
川崎     36千トン 固定費削減、生産効率向上、製品の高付加価値化
汎用エポキシ樹脂 水島     37千トン 2015年5月停止
富士地区で生産する潜在性硬化剤など高付加価値製品事業に集中


旭化成は2014年3月期に180億円の特別損失を計上する 。


水島コンプレックスでの両社の生産品目は下記の通り。三菱化学については今回の対応については未発表。

  旭化成 三菱化学
現状 処理 処理後 現状 処理 処理後
エチレン 500 -500 0 500   570
エチレン LDPE 120   120 JPE  66   66
LLDPE       JPE  53   53
LL/HD 47   47      
HDPE 116   116 JPE  94   94
α オレフィン       60   60
SM 710 -320 390      
PS PSJ 108   108      
ABS 65 -65 0      
SBラテックス 24 -24 0      
VCM       (391) 2011停止  
プロピレン PP       JPP  100   100
ANM 300 -100 200 ダイヤ 111   111
汎用エポキシ 37 -37      

  JPE:日本ポリエチレン、JPP:日本ポリプロ、PSJ:PSジャパン、ダイヤ:ダイヤニトリックス

 



トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/2452

コメントする

月別 アーカイブ