財務省が3月10日に発表した1月の経常収支は1兆5890億円の赤字となった。
比較可能な1985年以降で最大の赤字で、4ヶ月連続赤字も初めて。
財務省は同日の財政制度等審議会の財政制度分科会で、貿易赤字の拡大を背景に経常収支が年間を通じて赤字に転落する可能性があり、財政赤字との「双子の赤字」に陥ることへの懸念を表明した。
貿易収支の赤字幅の急増が原因で、輸出は前月比減に対し、輸入は増加した。
輸入増については、消費税増税前の駆け込み需要によるとの見方が強い。
単位:億円
2014/1 2013/12 増減 輸出 55,167 59,501 -4,334 輸入 78,620 69,974 8,646 差引 貿易収支 -23,454 -10,474 -12,980 サービス収支 -4,674 -3,977 -697 第一次所得収支 13,374 8,843 4,531 第二次所得収支 -1,136 -779 -357 差引 経常収支 -15,890 -6,386 -9,504
財務省は2014年1月分から国際収支の項目を見直し、従来の所得収支を「第一次所得収支」に、経常移転収支(対外経済援助など)を「第二次所得収支」に名称変更した。
参考 2014/1/28
2013年の貿易赤字、過去最大11兆円
2014/2/11 2013暦年 国際収支状況
2013/3/9 LNG輸入金額分析--- 原発停止の影響
日銀は3月11日の金融政策決定会合での景気判断で、輸出は、これまでの「持ち直し傾向にある」から「横ばい圏内の動き」に下方修正した。
一方、設備投資は「持ち直している」から「持ち直しが明確」に、生産は「緩やかに増加している」から「伸びがいく分高まっている」とそれぞれ上方修正した。
黒田東彦総裁は会見で、輸出が弱い理由について「製造業の海外生産シフトなど構造的要因があるものの、ASEANなど新興国経済がもたついている影響が大きい」とした。「米国の寒波、中国の旧正月(春節)、駆け込み需要で国内出荷を優先する動きなど一時的な要因も作用」と指摘。輸出が弱い主たる理由は一時的なものとした。
日銀のシナリオは、金融緩和→円安→輸出増→企業業績回復→賃上げ→消費増大であるが、現在は円安で輸入は増大するが輸出は増えておらず、今後の動きが注目される。
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内閣府は同日、2月17日発表の2013年第4四半期のGDP速報値の改定値を発表した。
速報値では季節調整の年率換算で実質1.0%、名目1.6%増としていたが、これを実質で0.7%増、名目で1.2%に下方修正した。
民間調査機関では、本年初めまで4Qの実質成長率を3%台半ばと見ており、円安でも輸出が伸びないことから、内閣府幹部は公表前に2%台半ばと見ていたというが、はるかに下回った。
実質GDP
(年率)名目GDP
(年率)年間換算 実質ベース増減 個人消費 設備投資 住宅投資 公共投資 輸出 輸入 13/1Q 4.8 3.0 4.2 -3.5 7.2 13.3 17.8 4.5 2Q 3.9 4.1 2.6 4.4 3.6 30.3 12.3 7.2 3Q 1.1 0.7 0.9 0.8 13.9 31.9 -2.7 10.1 4Q 1.0 1.6 2.0 5.3 17.8 9.3 1.7 14.9 3/10改定 0.7 1.2 1.6 3.0 17.6 8.7 1.7 14.7
設備投資と個人消費の伸び率が大きく減少した。
注)季節調整は直近値までを対象に毎回かけ直すため、季節調整系列はその都度、名目、実質ともに遡及して改定される。
2013/3Qまでの数値も今回改定されているが、ここでは前回発表時のままとした。
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