両国での手続きが順調に進めば、来年中に発効する。
アジア諸国でカナダとFTAを妥結したのは韓国が初めてで、韓国がFTAを締結したのは、これで12カ国・地域となる。
両国は2005年7月からFTA交渉を進めてきたが、2003年にカナダでBSEが発生すると韓国はカナダ産牛肉の輸入を全面禁止した。
このため、2009年にカナダが牛肉市場の開放を求めて韓国をWTOに提訴し、交渉が約5年間中断していた。
韓国は2012年1月に、9年間にわたる牛肉禁輸措置を解除した。
カナダ国際貿易省によると、韓国向け輸出は2012年に37億カナダドル(34億米ドル)で、韓国からの輸入は64億カナダドルだった。
カナダは、FTA締結によって輸出が年間32%増加すると見込んでおり、韓国は輸出が20%増加するとしている。
韓国側は、FTA締結は安定的な資源確保にも寄与するとの見通しを示した。
両国は協定発効後、10年以内に大多数の品目の関税を段階的に撤廃することにした。
このFTAで主に恩恵を受けるのは韓国の自動車メーカーとカナダの肉牛農家である。
カナダは乗用車の輸入関税(現行 6.1%)を協定発効から引き下げ、2年後には完全撤廃する。
乗用車は昨年の韓国の対カナダ輸出で最も多い42.8%(22億3千万ドル)を占めている。
自動車部品(関税率6%)、冷蔵庫・洗濯機(6~8%)などの家電製品は発効と同時か、または3年以内に関税を撤廃する。
カナダに進出している日本の自動車メーカーは当初、韓国とのFTAに反対を表明していたが、その後、カナダと日本のFTAにつながる可能性もあるとして態度を軟化させたと報じられている。
韓国はコメや粉ミルク、チーズなど211品目を関税撤廃の対象から除外するが、牛肉(40%)は15年以内、豚肉(22.5~25%)は5~13年以内に関税を撤廃する。
2013年12月に交渉が妥結した韓豪FTA交渉でも、韓国はコメ、粉乳、果実(リンゴ、梨、柿など)、大豆、ばれいしょ、水産物(カキ、明太子など)など171品目 (1.4%分)は関税免除から除外したが、牛肉などの492品目は10年以上かけて撤廃する。
両国は、北朝鮮の開城工業団地で韓国企業が生産する製品を韓国産として認めるかどうかを話し合う委員会も設置することにした。
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日本もカナダとの間で日加経済連携協定(EPA)交渉を行っている。
2012年3月の日加首脳会談で交渉開始で一致し、同年11月から2013年11月まで4回の交渉を行っている。
- 対加貿易(2012年、財務省貿易統計):
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貿易額 主要品目 日本による輸出 8189億円 輸送用機器、一般機械、電気機器 日本による輸入 1兆 125億円 鉱物性燃料、農産品、林産品
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韓国は米国、EU、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド)、ASEAN10ヵ国、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結しており、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称している。
日本はFTA締結国の数では韓国より多いが、米国、カナダ、EU、豪州と締結できていない。
韓国 (12) | 日本 (13) | TPP参加国 | ||
ASEAN | 物品貿易 2007年6月1日発効 サービス貿易 2009年5月1日発効 投資分野2009年9月1日発効 |
2008年12月から順次発効 | ||
シンガポール | 2006年3月2日発効 | 2002年11月発効 | ○ | |
マレーシア | 個別には発効していないが、ASEANとして既に発効済み | 2006年7月発効 | ○ | |
タイ | 2007年11月発効 | |||
インドネシア | 2008年7月発効 | |||
ブルネイ | 2008年7月発効 | ○ | ||
フィリッピン | 2008年12月発効 | |||
ベトナム | 2009年10月発効 | ○ | ||
インド | 2010年1月1日発効 | 2011年8月発効 | ||
オーストラリア | 2013/12 実質合意 | --- | ○ | |
ニュージーランド | --- | --- | ○ | |
トルコ | 2013年5月1日発効 | --- | ||
米国 | 2012年3月15日発効 | --- | ○ | |
カナダ | 2014年3月11日妥結 | --- | ○ | |
メキシコ | --- | 2005年4月発効 | ○ | |
チリ | 2004年4月1日発効 | 2007年9月発効 | ○ | |
ペルー | 2011年8月1日発効 | 2012年3月発効 | ○ | |
コロンビア | 2013年2月21日 正式署名 | --- | ||
EFTA | 2006年9月1日発効 | --- | ||
スイス | (EFTAとして締結) | 2009年9月発効 | ||
EU | 2011年7月1日暫定発効 | --- |
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韓米自由貿易協定が2012年3月15日に発効し、2年経った。
韓国貿易協会と産業通商資源部によると、韓国の輸出全体は2012年が1.3%減、2013年が2.1%増にとどまったのに対し、FTAが発効した2012年の対米輸出は585億3000万ドルと前年比4.1%増加、2013年は620億5000万ドルと6.0%拡大した。
このうち自動車部品をはじめとする輸送機械は年平均17.0%増、化学製品は13.1%増、石油製品は10.4%増であった。
米国からの輸入は、関税が8%から4%に引き下げられた米国製自動車の輸入は年平均49.9%増加した 。自動車輸入増では日本メーカーが韓国向け輸出の一部を日本製から米国工場からの供給に切り替えた影響 (日本のFTAへの対応の遅れの表れ)が出ている。
また、チェリーやアーモンド、ワインなどの農産物や加工食品も3~4割増となったが、全体では2012年が2.8%減、2013年が4.2%減であった。
FTA発効後の2年間、米国の対韓投資は80億4000万ドルで、発効前の2年間に比べ82.5%増加した。
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