カナダと米国の天然ガスを液化し輸出する計画で、顧客と既に非拘束の契約を締結しており、年末までに全量について契約を締結するとしている。
Jordan Cove Energy Project, L.P.はカナダのCalgaryに本拠を置くエネルギー関連インフラ投資会社のVeresen Inc. (旧称 Fort Chicago Energy L.P.)が経営する。
オレゴン州Coos Bay の北方に16万m3のLNG貯蔵タンク2基と年産600万トン(将来900万トンへの拡大予定)の液化設備を建設する。
合わせて、カナダ及びRocky Mountain地区の天然ガスのハブであるオレゴン州Malin とJordan Cove LNG との間にPacific Connector Gas Pipelineを新設し、カナダからのWillimas Northwest Pipeline、TransCanada Pipeline、Rocky Mountain地区からのRuby Pipelineと接続する。
操業時はカナダ産天然ガスが70%、米国産天然ガスが30%で、最終的には比率を 65/35 とする。
同社では、アジア太平洋市場のLNG需要は2025年までに年3億トンを超えると見ており、Jordan Coveはアジア太平洋及び南米市場のほとんどに最短で、運賃が最も安いと自負している。
日本向けLNG運賃は以下の通りで、Jordan Cove とKitimat は近接している。
Kitimat(カナダ西海岸) 1.24 $/百万BTU US Gulf Coast 2.96 Cove Point(東海岸) 3.07 Gordon(豪) 1.17 Gladstone(豪) 1.21 Ichthys(豪) 1.23 資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25
付記 同資料によると米国東海岸から欧州への運賃は 1.05$
参考 LNG日本着価格は、天然ガス価格+液化費用(3ドル程度)+運賃となる。
天然ガス価格は現在は4ドル程度だが、6ドル程度までアップすると見られている。
仮に天然ガスを6ドルとすると、US Gulf Coastからでは12ドル、西海岸からでは10.3ドルとなる。
現在の日本の輸入価格は16ドル程度。(百万BTU当たり)
これまでの非FTA締結国向けの輸出承認は下記の通りで6ヶ所7件(Freeport 追加を含む)となっている。
会社名 立地 概要 Cheniere Energy 本事業のため
Blackstoneが出資Sabine Pass LNG Terminal
(Cameron Parish, LA)承認:2011/5(FTA締結国向けは 2010/9)
数量:2.2 Bcf/d(年間1600万トン)
期間:20年間
輸出契約: BG Group 550万トン Gas Natural (スペイン) 350万トン Gail(インド) 350万トン Kogas(韓国) 350万トン 合計 1600万トン 注. 承認時は韓国はFTA未発効
2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 Freeport LNG 株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガスFreeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
数量:1.4 Bcf/d(年間900万トン)
→1.8 Bcf/d (年間1200万トン)(2013/11増量承認)
期間:20年間液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約: 大阪ガス 220万トン 中部電力 220万トン BP Energy 440万トン 合計 880万トン 東芝 220万トン 再計 1100万トン 2013/5/20 米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可 Lake Charles Exports
株主:
Southern Union Company
BG GroupLake Charles Terminal
(Lake Charles, LA)承認:2013/8(FTA締結国向けは 2011/7)
数量:2.0 Bcf/d(年間1500万トン)
期間:20年間
輸出契約: BG Groupがパートナーのため、当然BGは対象 2013/8/12 米エネルギー省、非FTA締結国向けLNG輸出で3件目の承認 Dominion Energy Dominion Cove Point
LNG Terminal
(Chesapeake Bay
in Lusby, Md.)承認:2013/9(FTA締結国向けは 2011/10)
数量: 0.77Bcf/d 年間525万トン
期間:20年間
液化開始:2017年
輸出契約: 住友商事 230万トン
(東京ガス) (140万トン)
(関西電力) ( 80万トン) Gail(インド) 230万トン 合計 460万トン 2013/9/13 米、日本向けLNG輸出 2件目を承認 Cameron LNG 株主:
Sempra Energy 50.2%
三井物産 16.6%
Japan LNG 16.6%
(三菱商事/日本郵船)
GDF Suez 16.6%
Cameron Parish, LA 承認:2014/2/11(FTA締結国向けは2012/1)
数量:1.7 Bcf/d(年間1200万トン)
期間:20年間
輸出開始:2017年
輸出契約: 三井物産 400万トン
三菱商事 400万トン
GDF Suez 400万トン 合計 1200万トン 2014/2/13 米、日本向けLNG輸出 3件目を承認 Jordan Cove
Energy LNG株主:
Veresen Inc
Coos Bay, Oregon 承認:2014/3/24
(FTA締結国向けは2011に900万トンで承認)
数量:0.8 Bcf/d (年間 600万トン)
期間:20年
輸出開始:2017年
輸出契約:2014年中本件
なお、次に承認を受けるのは、同じオレゴン州の WarrentonのSkipanon Peninsula に建設予定のOregon LNGと見られている。(上のパイプライン地図に表示)
ーーー
米議会は3月25日、ウクライナ情勢を受け、米同盟国がロシアの天然ガスに依存しなくても済むよう、WTO加盟国に政府の許可なしでLNG輸出を認める法案の審議を開始した。但し、仮にこの法案が通っても、実際の輸出には5~6年かかる。
当初から天然ガス価格の値上がりを懸念している Dow Chemical などは当然、反対している。