人民元が急落している。
2014年1月14日には終値
6.0412人民元/$で最高値を更新したが、その後、下落に転じた。
最近の動向は下記の通り。
まず、人民銀行は1月14日に基準値を過去最高値の6.0930人民元に設定した後、低目の設定をしていたが、2月中旬以降、基準値を急に下げた。
人民銀行が基準値を元安方向に設定して、下落を誘導しており、大手国有銀行も人民銀行の要請で元を売っているとされる。
この結果、旧正月の連休直前に下落に転じ、2月20日頃からは急落、この数日の終値は基準値を下回るに至った。
2月28日の終値は6.1450人民元で、半年前の水準である。
一時、6.1808人民元と、下限ぎりぎりまで下がった。2月26日付ウォール・ストリート・ジャーナルは、市場の力やトレーダーによる売買でなく、中国人民銀行による通貨切り下げだと報じた。
人民銀行の唐突な元安誘導の理由については意見が分かれているが、単なる誘導だけでは効果は一時的だとの見方が強い。
・輸出企業支援
・一方的な元高をけん制
これ以上一方的な元高が進まないことを市場に理解させる。
・元の変動幅拡大に備えた動き
中国は2012年4月16日に基準値からの変動幅をそれまでの0.5%から1.0%に拡大したが、これを更に拡大する意向で、基準値の上下2%まで拡大するのではと予想されている。
中国人民銀行は2月19日の声明で、「徐々に人民元の変動メカニズムを完成させ、為替の変動幅を秩序だった方法で拡大する」と述べた。国境を越えた人民元の利用を着実に拡大する方針も示した。
付記
中国人民銀行は3月15日、対ドル相場の変動幅を17日から上下それぞれ2%に広げると発表した。変動幅の拡大は2012年4月以来。
・元安によって米国に圧力をかける狙い(量的緩和の縮小において慎重な方法をとるよう求める)
・元安誘導を行うことで、利ザヤ狙いのホットマネーの流入に打撃を与える。
中国の国家外貨管理局は2月26日、最近の人民元相場の下落は市場原理の結果だと説明し、大規模な資金流出が将来発生する公算は小さいとの考えを示した。
市場では、このところの元急落にもかかわらず、今年も2-3%のペースで元高が進むとの見方が根強い。
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ロイターは、人民元の下落で、オフショアのデリバティブ(金融派生商品)の損失リスクが高まっており、このまま元が下げ続ければ、投資家は数十億ドルもの損失を抱える可能性があると報じた。
問題のデリバティブは、Target Redemption Forwardと呼ばれる投資商品で、元が急落しなければ、安定的なリターンが得られる投資商品として人気化した。
発行額は3500億ドルで、ドイツ銀行の試算では、主にドル債権を持つ中国企業に今年だけで1000億ドル販売されたという。
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