2013年の貿易赤字(速報、通関ベース)は過去最大の11兆円となった。
輸出 輸入 差引 2010 67兆3996億円 60兆7650億円 6兆6347億円 2011 65兆5465億円 68兆1112億円 -2兆5647億円 2012 63兆7476億円 70兆6886億円 -6兆9411億円 2013 69兆7877億円 81兆2622億円 -11兆4745億円
2014/1/28 2013年の貿易赤字、過去最大11兆円
円安の影響が大きいが、全ての輸出入に円安が響く訳ではない。
税関ホームページでは、半年ごとに「貿易取引通貨別比率」を発表している。
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/tuuka.htm
これによると、2013年下期の日本の輸出入の通貨別比率は下記の通りである。
米ドル | 円 | ユーロ | 豪ドル | 元 | その他 | |
輸出 | 53.4% | 35.6% | 6.1% | 1.2% | 0.6% | 3.1% |
輸入 | 74.1% | 20.6% | 3.5% | 0.4% | 0.3% | 1.0% |
輸出については全体の35.6%が円建てだが、輸入は20.6%しかない。
仮に、輸出と輸入が同額であっても、輸入の方が外貨建てが多いため、円安の場合は貿易赤字となる。
輸出停滞・輸入増であればこの影響は更に拡大する。
日本の輸出入の円建・外貨建別の推移は下記の通りとなる。(半年ごとの通貨別比率で計算)
平均レートは2012年が79.55円/ドルで、2013年が96.91円/ドルである。
2013年の外貨建分を2012年のレートに置きなおすと、下記の通りとなる。
(ドル建以外のものも、ドル建と比例するとみなして計算した。)
単位:兆円
2012 2013 実増減 レート差
以外レート差 実額 '12レート 輸出 63.7 69.8 61.7 6.0 -2.0 8.0 輸入 70.7 81.3 69.7 10.5 -1.0 11.5 差引収支 -6.9 -11.5 -7.9 -4.5 -1.0 -3.5
2012年レートで計算すると、2013年の輸出は前年比で2兆円の減、輸入は1兆円の減となった。
為替レート差は、輸出は外貨建ては64.4%のため8兆円に過ぎないが、輸入は外貨建てが79.4%あるため11.5兆円に上り、差引3.5兆円となる。
即ち、円安になったが、実輸出は増えず、レート差を除くと輸出は輸入の倍額の減少となっており、レート差は輸入の方に大きく響くため、貿易収支は4.5兆円もの赤字増となった。
2013年だけ取ると、円安の効果は全く出ていない。
2014年1月の経常収支統計では前月比で貿易収支赤字は倍増している。
輸出のうち円建が35%もあるため、今後も、輸出がかなり大幅に増えないと、円安のメリットを享受できず、逆に、貿易収支の赤字が拡大し、経常収支が赤字化する恐れが強い。
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