ロシアの国営石油会社OAO Rosneft は3月17日、間接的にイタリアのタイヤメーカーPirelli の筆頭株主になる契約を締結した。
Pirelliに出資する最大の持株会社の権益を5億ユーロ(695百万ドル)で取得する。
現在のPirelliの株主構成は以下の通りとなっている。
最大株主はPirelliの会長のMarco Tronchetti Proveraと投資会社のClessidra 及び2つの銀行が出資する持株会社Cam Finanziaria (Camfin) だが、交渉の結果、Camfinを解散し、新しい持株会社をつくり、Rosneftが50%を出資する。Clessidra は離脱し、会長と2つの銀行は新比率で出資することとなった。
最終的にRosneft のPirelliへの出資比率は13.1%となり、Marco Tronchetti Provera会長の10.5%を上回り、最大株主となる。
Cam Finanziaria
(Camfin)Nuove Partecipazioni
(Marco Tronchetti Provera)39.09% → 新持株会社 Rosneft 50% Pirelliの13.1% Clessidra SGR
(private equity company)24.06% 新会社 Nuove Partecipazioni 80% 50% Pinelliの10.5% Intesa Sanpaolo
(bank)18.43% Intesa Sanpaolo 10% Pinelliの1.3% Unicredit
(bank)18.43% Unicredit 10% Pinelliの1.3%
この数年、Pirelliの株主の間で会長の力を弱めようとの動きがあり、それに対抗して会長が昨年、Clessidra と2銀行に出資を依頼し、Camfinを設立したという経緯がある。Clessidra は2017年までの出資としていた。
Rosneftが安定株主として入ることで、株主関係が安定化する。
RosneftとPirelliは2012年12月に契約を結び、RosneftのガソリンスタンドでPirelliのタイヤを販売しており、原料の供給も行っているが、関係を更に強化する。
Pirelliは住友ゴムと並び世界5位のタイヤメーカー(シェア4.1%)だが、イタリアでの販売は全体の6%で、ロシア、中国、ラテンアメリカでの事業が大きい。
Rosneft は合成ゴム事業に関心を有しており、Pirelliとの提携はこれを推進することとなる。
2013年12月にRosneftとPirelliはアルメニアのOil Technoとの間で、アルメニアでの合成ゴム、特にSBRの生産をすることに関し、共同でR&Dを実施する覚書を締結している。
主体はRosneftで、PirelliはRosneftに協力し、実現した場合には長期的に購入する意向を示した。
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