米財務省は4月15日、半期に一度の主要貿易相手国の為替政策に関する報告書(
Semi-Annual Report to Congress on International Economic and Exchange Rate
Policies)を公表した。
中国を為替操作国と認定することは見送ったが、人民元はなお「著しく過小評価」されているとし、今後の相場動向を注視する姿勢を示した。
報告概要は以下の通り:
人民元は2013年には ドルに対し2.9%上昇したが、円や開発途上国通貨の下落で、貿易の加重平均ベースでは名目で7.2%、実質で7.9%上昇した。
2013年では毎日、基準値の上限の1%近くで推移し、更に上昇すると期待された。しかし、2014年に入り、方向が逆転し、現在まで2.68%下落している。交換レートの調整プロセスが不十分で、元は均衡点に達するまでに更に下落する兆候が多い。
中国は経常収支の黒字を続け、外国からの直接投資の誘致を続けている。人民元は今も著しく過小評価されている。
中国政府は3月17日に変動幅を上下 1%から上下 2%に拡大した。直前に中央銀行は大幅介入して元を下落させた。これまでにない大幅な下落である。
変動幅の拡大は介入を減らし、交換レートを決めるのに際し市場の役割を広める。中国は今後、介入を止め、市場に任せるべきだ。
最近の人民元の推移が、もし、中国が人民元の上昇に再び抵抗したり、あるいは介入の度合いを弱めて市場主導の相場形成を目指すとした中国政府の方針の後退を示唆している場合は、深刻な懸念となる。
今後もこの問題を注意深く監視する。
他のG-20諸国のように、中国は市場への介入を公開し、金融政策のフレームワークの信頼性を高め、金融透明性を高めるべきだ。
人民元の推移は下記の通り。
本年1月14日には、2010年6月18日の弾力化前に比べ、終値で12.99%、一時的には13.01%高の最高値を更新したが、その直後、下落に転じた。
人民銀行は1月14日に基準値を過去最高値の6.0930人民元に設定した後、低目の設定をしていたが、2月中旬以降、 基準値を急に下げた。
人民銀行が基準値を元安方向に設定して、下落を誘導しており、大手国有銀行も人民銀行の要請で元を売っているとされた。
この結果、旧正月の連休直前に下落に転じ、2月20日頃からは急落、2月末には終値は基準値を下回るに至った。
2014/3/1 人民元が急落
その後の推移は下記の通り。
中国は3月17日に変動幅をこれまでの±1%から2%に変更した。
その直後の終値は6.2275人民元/$と大幅下落し、その後も低迷している。4月21日には6.2274人民元/$となった。
人民銀行もは基準値を下げ続け、4月21日には6.1591人民元/$と昨年9月11日以来の低い水準に設定した。
中国への資本流入が再び増加していることが先週末の統計で示唆されたことを受け、人民銀行が元相場を押し下げる市場介入を実施したとの観測が広がった。
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