信越化学は4月15日、米国子会社のShintech がPVCの主原料の一つであるエチレンを生産する工場の建設許可(Air Permit application)をルイジアナ州の環境庁(Louisiana Department of Environmental Quality)に申請したと発表した。
この申請におけるエチレンの生産能力は年産50万トンで、工場の立地はShintechが既に所有している工業用地が有力候補となる。
申請から許可までは1年ほどかかるため、並行して、工場建設に係る投資額及び採算性や、建設時期などの検討を進めた上で、最終決定を行う
。
日本の化学会社が米国でエチレン生産に踏み込むのは初めて。
シェールガス由来の原料から大幅にコストを低減してエチレンを生産する体制を整え、PVCの競争力を高める。
LyondellBasell 資料
立地は未定だが、ルイジアナ州環境庁への申請書では、ルイジアナ州Plaquemineの近くのShintechのコンプレックスになるだろうとしている。
別の発表では、投資の最終決定は数ヶ月先とし、所有している4箇所を立地として評価していると述べている。
但し、現在のところ、テキサス州でのAir Permit application は出されていない。
・ルイジアナ州 AddisのPVC 58万トンプラント
・ルイジアナ州 Plaquemine の電解・VCM・PVCのコンプレックス
・上記の近く
・テキサス州 Alvin (ShintechのFreeportのPVCプラントから数マイル北)
信越化学は2013年6月、Shintech がルイジアナ州(Addis or
Plaquemine) での電解、塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂の生産能力の増強を決定したと発表した。
増設後のシンテックの塩ビ樹脂の生産能力は、ルイジアナ州の工場の既存分とテキサス州の工場を併せて295万トン/年となる。
単位:万トン
立地 PVC VCM カ性ソーダ Texas州 Freeport 145 - - Louisiana州 Addis 58 - - Plaquemine 60 160 106 今回増設 32 30 20 合計 295 190 126
2013/6/21 Shintech、生産能力拡大を決定
エチレンが完成すると、原料からPVCまでの一貫体制が完成、一層のコストダウンが期待出来る。
米国でのエチレンはシェールガスからのエタンを利用することで低コストが期待できる。
工業塩は工場近辺の土地の地下の岩塩層から採取でき、電解の電力料も安い。
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Shintechは当初、Dow Chemical と提携し、FreeportでPVCの生産を開始した。
ダウは電解~VCM事業、シンテックはPVC事業に専従して共存共栄体制をとり、VCM価格の決定にはPVC価格を反映させた。PVC価格が暴落した場合は値下がり損の半分をVCM価格引下げでダウが負担、逆にPVC価格が上がれば値上がり分の半分がVCM価格に反映されるというものである。
1996年にシンテックはルイジアナ州コンベントに工場用地を取得、電解、VCM(50万トン)、PVC(50万トン)の一貫生産体制をつくる構想であったが、グリーンピースの反対に会い、1998年に立地をAddisに変更し、一貫生産を棚上げしてPVC 58万トンのみの生産とした。VCMは 隣接のDowから購入する。
2004年12月、信越化学は新計画を発表した。
総額10億ドルをかけて塩素 45万トン、VCM 75万トン、PVC 60万トンの一貫生産を行うというもので、第一段階として、塩素 30万トン、VCM
50万トン、PVC 30万トンを2006年末に完成させ、残りを2007年末に完成させる。
立地はPlaquemineの元
Ashland Chemical の工場敷地である。
2006/5/16 世界一の塩ビ会社 信越化学
ShintechのVCM進出とDow Chemical の汎用品見直しに伴い、紆余曲折を経て、両社の共存共栄体制はつぶれ、Dow は塩素事業からの撤退を決めた。
2013/12/5 Dow Chemical、塩素事業からの撤退を発表
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