1.住友化学
石油化学が黒字化し、情報電子化学、農薬、医薬が大きく増益となり、増収増益となった。
メタアクリルや合成繊維原料の基礎化学部門は赤字が続いた。
前年に続き、特別損益に多額の減損損失、事業構造改善費用を計上したが、当期損益は370億円の黒字となった。
単位:億円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比(億円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特別損益の推移は以下の通りで、減損損失と事業構造改善費用として、前年に続き、多額の損失を計上した。
2011/3 | 2012/3 | 2013/3 | 2014/3 | |
投資有価証券売却益 | ー | 98 | ー | 34 |
減損損失 | -32 | -36 | -229 | -218 |
事業構造改善費用 | -41 | -64 | -108 | -106 |
投資有価証券評価損 | ー | ー | -47 | -15 |
持分法投資損失 | ー | -260 | ー | ー |
その他 | -11 | -7 | 4 | 56 |
合計 | -84 | -268 | -379 | -249 |
注)2012年3月期の持分法投資損失260億円は豪州農薬会社のNufarm の株式評価損。
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ナイロン原料のカプロラクタムは中国の大増設で価格が下落しており、原料のベンゼンとの格差は2011年初めに2,430ドル/トンあったのが、現在は965ドルに下がっている。
宇部興産も本年3月末に堺工場を停止、宇部とタイ・スペインの3拠点体制とした。
大日本住友製薬の実績は以下の通り。
単位:億円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益はSunovion Pharmaceuticals買収に伴う特許権とのれんの償却費182億円を控除したのちのもの。
前年の償却費は259億円であった。
北米で独占販売期間が満了した短時間作用型β作動薬「ゾペネックス」が減収となったが、非定型抗精神病薬「ラツーダ」が大きく伸長して補い、円安の影響(北米のみで295億円の益)もあって大幅な増収となった結果、増益となった。
2015年3月期には、北米での後発品参入、日本の薬価改定の影響が大きく、戦略製品の伸長でカバーするが、9.2%の減収となる。
これに対し、特許権の減少、経費の効率的使用による販管費の減少、優先開発品目への集中投資により研究開発費総額を増やさないなどにより、費用を押さえ、200億円の営業損益を確保する。
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2.三菱ケミカルホールディングス
増収増益となった。但し、営業損益は2011年3月期のちょうど半分である。(ケミカルズ、ポリマーズの損益減が原因)
食品機能材、電池材料、精密化学品、樹脂加工品、複合材、無機化学品、化学繊維などを扱うデザインド・マテリアルズが好調で、営業利益は前年比倍増となった。
単位:億円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比(億円) |
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グループ別の営業損益は以下の通り(億円)で、
2011年3月期と比較すると、三菱化学(ケミカルズ、ポリマーズ等)と
三菱レイヨン(MMA等)の減益が大きい。
2011/3 | 2012/3 | 2013/3 | 2014/3 | |
三菱化学 | 881 | 231 | 42 | 231 |
田辺三菱製薬 | 766 | 690 | 690 | 591 |
三菱樹脂 | 166 | 106 | 128 | 201 |
三菱レイヨン | 410 | 303 | 68 | 88 |
調整 | 42 | -24 | -26 | -6 |
合計 | 2,265 | 1,306 | 902 | 1,105 |
当期の特別利益に「仲裁裁定による特別利益」 130億円が含まれている。
田辺三菱製薬は日本で販売する抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」に関し、Janssen Biotech(Johnson & Johnson子会社)に対して、開発販売契約に基づく供給価格の改定を求める国際商工会議所への仲裁申立を行っていたが、これに対し、裁定があったもの。
2013/8/21 田辺三菱製薬、仲裁裁定で117百万ドル受領
田辺三菱製薬の実績は以下の通り。
単位:億円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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