中国商務部は4月30日の公告25号、26号で、EU原産の輸入Solar gradeポリシリコンの反ダンピング・反補助金調査でクロの最終決定を行ったと発表した。
太陽光パネルとポリシリコンについては、米国とEUが中国製のパネルについて反ダンピング・反補助金調査を行い、これに対抗して中国が米国とEU原産の太陽光パネル用ポリシリコンに対して反ダンピング・反補助金調査を行った。
これまでのところ、米国・中国とEU・中国では対応が異なった。
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米国は強硬で、反ダンピング・反補助金調査でクロの決定を行い、対抗して中国も米国産ポリシリコンでクロの決定を行った。
米国は更に、中国製の結晶シリコン太陽電池製品(バッテリー、モジュール、合板、パネル、建築一体化材料など)に対して、再度、反ダンピング・反補助金調査を実施する決定を下した。ITCは2014年2月14日、米国の関連産業に実質的な損失をもたらしたとする仮裁定を下した。
2014/1/31 中国商務部、米国とEUの太陽光パネル用多結晶シリコンで異なる対応
これに対して、EUと中国はこれまでは友好的対応を行っていた。
中国はEUによる太陽光パネルの調査に対抗して、EU産のワインについても反ダンピング・反補助金調査を行った。
2013/7/5 中国、EU原産の輸入ワインで反ダンピング&反補助金調査を開始
これを契機に双方で話し合いを行い、太陽光パネルとワインでともに和解した。
2013/7/28 EUと中国、太陽光パネルダンピング問題で和解
2014/3/26 中国とEU、欧州産ワインのダンピング問題で和解
残るポリシリコンについても、中国は本年1月にクロの仮決定を下したにもかかわらず、「特殊な市場状況を勘案し」 反ダンピング税・反補助金税に対応する保証金を徴収しなかった。
その後にワインについて和解し、中国商務部が反ダンピング調査を打ち切ったこともあり、これについても和解が想定された。
しかし状況が変わった。
EUは本年4月に、中国原産の太陽光パネル用ガラスについて、中国のメーカーが違法な補助金を得て、不当に安い価格で売り、欧州のメーカーを脅かしているとし、17.1%~42.1%の課税を決めた。
2013年2月と4月に、EUのパネル用ガラスメーカーの約半分が加盟するEU ProSun Glass の申請に基づき、反ダンピング調査と反補助金調査を開始した。
恐らく、これを受けて中国は今回の決定を行ったと思われる。
これを見ると、どの国も補助金を支給し、ダンピングを行っていることとなる。
輸入ポリシリコン課税でパネルのコストが上がり、その輸入パネルの課税で更にパネル価格が上がることで、最終的には太陽光発電コストが上昇する。
今回の反ダンピング税率は下記の通り。
反ダンピング税 反補助金税 ドイツ Schmid Group 42% 1.2% Joint Solar Silicon V 42% 1.2% イタリア MEMC Electronic Materials SpA 42% 1.2% MEMC Electronic Materials 42% 1.2% SILFAB S.p.A. 42% 1.2% Estelux S.r.l. 42% 1.2% PrimeSolar S.r.l. 42% 1.2% スペイン Siliken Spain 42% 1.2% その他 14.3% 1.2%
なお、仮決定後にWacker Chemie AG が価格協定書を提出したため、同社については税を免除する。
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