韓国の遠洋漁船による漁獲量制限違反など違法操業を問題視している欧州連合(EU)が、6月8日に韓国に調査団を派遣することを決めた。
6月末に違法操業国家に指定するかどうかを決定する。
違法操業国家指定が確定すれば、年間1億ドルに上るEUへの水産物輸出が全面的に凍結される上、韓国の遠洋漁船はEU加盟国の港を利用できなくなる。
違法操業国の指定は、韓国にとっては大きなイメージダウンとなる。
遅まきながら、韓国政府は、罰金制度の強化や外国水域での全ての韓国漁船の操業をモニターする監視センター設置などの対策をとった。
韓国海洋水産部の関係者は「違法操業国指定を阻止するために最善を尽くす」としている。
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EUは、全世界における違法漁業による総生産額を年間100億ユーロとし、EUの2007年の水産物輸入(150億ユーロ)のうち、IUU漁業を起源とするものは11億ユーロと推計した。
違法漁業=IUU漁業のIUUはIllegal, Unreported and Unregulated の略で、'pirate' fishing とも呼ばれる。
EUは、IUU漁業が水産生物資源の持続的な利用に対する最も深刻な脅威の一つであり、EUの共通漁業政策及び国際的な取り組みの根幹を揺るがすものと位置付けた。
2008年9月にIUU漁業を防止、抑止及び廃絶するための欧州共同体システムを確立する「IUU漁業規則」を採択した。
EUは2010年1月1日からIUU Regulation を全面的に施行した。
IUU漁業規則は商業漁業に従事する全ての漁船を対象とし、EUへ輸出する全ての水産製品(養殖魚、淡水魚等を除く)について、正当に漁獲されたものであることを漁船の旗国が証明する漁獲証明書の添付が義務付けられ、IUU規則に違反する水産物がEU域内に入域することを防止、抑止及び廃絶することを目的にしている。
2013年11月にEU の海事・漁業担当委員はIUUに違反する国との取引を禁止する計画を発表した。
構造的問題を解決して違法な漁業問題に取り組むとの熱意を示せなかったとして、ギニア、カンボジア、ベリーゼの3国を非協力国に指定した。
これらの3国の漁船が獲った全ての漁業製品をEUが輸入することを禁止し、更にEUの漁船がこれらの国の水域で漁業を行うことを禁止した。
更に、韓国、キュラソー、ガーナの3国に対し、違法な漁業を禁止する国際的な義務を果たしていないとして、イエローカードを渡し、改善の努力がなければ同様のレッドカードが与えられると警告した。
英国に本部を持つEJF
(Environmental Justice Foundation)
は2010年以降、西アフリカで監視活動を始めた。人工衛星を使って、違法漁業がEU市場に入るのを追跡し、EU当局に"IUU
Alerts"を送っている。
証拠に基づく調査でこれまで数百万ドルの罰金を課しており、地域によっては違法漁業の激減をみている。
EJFによると、韓国の漁船の違法行為は特に広範であるという。2010年以来、韓国の漁船が西アフリカ諸国の水域で高価格な魚類を狙った違法漁業が200件以上報告されている。保護海域で漁をしたり、パトロールから逃げたり、罰金支払いを拒否したり、登録番号を覆って隠したり、洋上で違法に魚を積み替えたり、現地の漁師を攻撃したりしているという。
更に、韓国船では人権問題も分かっている。14歳の若い労働者を3ヶ月もの漁業の間、ひどい状況のなかで住ませ、働かせていたという。
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米国も韓国をIUU漁業国の一つとみなしている。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)は2013年1月に議会に報告書を提出した。
その国の漁船がIUU漁業を行っている国として次の10カ国を挙げたが、そのなかに韓国が含まれている。
コロンビア、エクアドル、ガーナ、イタリア、メキシコ、パナマ、韓国、スペイン、タンザニア、ヴェネズエラ
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