三菱ケミカルホールディングス、大陽日酸株式の公開買い付け

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三菱ケミカルホールディングスは5月13日、大陽日酸株式の公開買い付けに関する基本合意書の締結を発表した。

現在、同社は大陽日酸の株式の27%を保有するが、議決権の過半数(下限 50.0%、上限 51.0%)の取得を目指し、11月上旬をメドにTOBを実施する。
買収総額は最大で1072億円となる見込み。

三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は「米国で進むシェールガス革命に伴う事業機会の獲得に加え、東南アジアやインドといった成長市場を開拓し事業基盤の強化を図る」と買収の意義を述べた。

三菱ケミカルがDow Chemicalと共同で米国に建設を予定している化学工場に大陽日酸が窒素を供給する。また、大陽日酸の販売先に三菱ケミカルの化学品を納入するなど販路を拡大するほか、三菱ケミカルが力を入れているヘルスケア分野でも大陽日酸が持つ医療ガス技術などを活用することで相乗効果を狙う。

成立後は、大陽日酸株式の上場を継続し、大陽日酸の経営の自主性を維持する。

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大陽日酸は2004年10月に日本酸素と大陽東洋酸素が合併してできた。

日本酸素が1934年に国内初の酸素発生装置を開発して以来、産業ガス(酸素、窒素、アルゴン)を製造する空気分離装置を中核として、産業用ガス、エレクトロニクス向けガス、医療用ガス、LPガスなどの事業を展開してきた。

三菱化学は1953年に大陽酸素に25%出資し、産業ガスの製造事業を合弁(三菱油化とのJVの鹿島酸素)で行うなど提携関係にあり、大陽東洋酸素には最終 36.2%の出資したが、大陽日酸の設立で10.1%となった。その後、買い増しして2009年には15.1%とした。

2013年9月に三菱ケミカルホールディングスは大陽日酸と資本業務提携契約を締結した。

 資本提携:大陽日酸の第三者割当(10.41%)などで出資比率を26.97%とした。

 業務提携:

   ①産業ガス関連事業:
   ・三菱ケミカルが計画する新たな海外生産拠点へも展開することで更なる海外事業の拡大を図る。
   ・既存製品・事業との相乗効果による売上拡大も目指す。

   ②販売チャネルの相互活用
   ・大陽日酸メディカルの医療用ガス・関連機器の三菱ケミカルを通じた販売チャネルでの拡販
   ・三菱ケミカルの人工炭酸泉、炭素繊維容器の大陽日酸の販売チャネル活用など

その後の業務提携の協議・検討の過程で、両社は事業基盤の更なる強化が不可欠で、そのために同一グループとして協力し、両社の経営資源を有効に活用して一層の事業シナジーを創出することが必要との認識で一致し、今回の結論となった。

大陽日酸の業績は下記の通り。

同社は2014年5月に新中期経営計画を発表したが、経営目標として、2016年度に、売上高6,000億円、営業利益 450億円、海外売上高比率40%以上を目指すとしている。
そのためのイノベーションとして、天然ガス・シェールガス等の世界的なエネルギーを巡る環境変化を捉え、次世代の核となる新規事業を創出することを挙げている。

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TOB完了後の三菱ケミカルホールディングスの姿は次のとおりとなる。

    * 生命科学インスティテュートについては 
         2013/12/16 三菱ケミカルHD、来年4月にヘルスケア新事業会社を設立


三菱ケミカルホールディングスの構成会社別営業損益の推移は以下の通りで、三菱化学と三菱レイヨンの損益の変動が大きいが、大陽日酸の損益は安定している。


 


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