統合対象は欧州のクロルアルカリと塩ビ事業で、詳細は下記の通り。
Solvayの統合対象は欧州の塩ビ事業だけであり、アルゼンチンとブラジルに工場を持つ子会社のSolvay Indupa とタイのJVのVinythaはSolvayに残る。(その後、Solvay
Indupa はBraskemが買収した。)
2012年売上高 | 対象 | 対象外 | |
Solvay | 19億ユーロ | Solvin (Solvay 75%, BASF 25%) |
・塩化ビニリデン ・RusVinyl(ロシアのSiburとのJV) |
Solvayのクロルアルカリプラント | Povoa、Bussi、Torrelavega | ||
製塩プラント(Tavaux、Martorell、Jemeppe) | |||
欧州の塩素誘導品 (エピクロルヒドリン、CLM、塩酸、Hypo) |
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フランスFevzinのエチレンの42.5% (残りの出資はTotal) |
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Ineos | 24億ユーロ | Kerling (Ineos ChlorVnyl) |
ノルウェー Rafnesのエチレンの50% (残りはIneos) |
この覚書には将来のSolvayのJVからの撤退について記載されている。
JV設立から4年から6年の間にINEOSがSolvayの持株を全て買取り、100%子会社とするというもの。
2013/5/15 Solvay、欧州塩ビ事業をINEOSと統合、将来塩ビ事業から撤退
この計画は欧州委員会の独禁法審査で難航した。
欧州委員会は、新しいJVが欧州北西部で塩ビ管・窓枠用のサスペンジョンPVCで市場支配力を持つため価格が上昇すること、また、Benelux
3国で漂白剤の価格が上昇することを懸念し、2013年11月に徹底調査を開始した。
欧州委によると、S-PVC 市場ではIneosの最強の競合者のSolvayが市場からいなくなる。残るのははるかに小さいメーカーで、抑止力にならず、値上げが簡単に行えることとなる。合併前でも、Ineosは既にかなりの市場支配力を持つ。
他のメーカーはJVに対抗するため増設する力を持たず、輸入品も力はない。需要家も対抗する力を持たない。Beneluxの漂白剤市場では、新JVは60%以上の市場シェアを持つこととなり、残るのはAkzoだけで対抗力を持たない。
2014年1月22日、両社はEU当局から本件について問題ありとの通知(the statement of objections)を受け取ったと発表した。
これを受け、両社は2月27日、問題解決のため、数箇所のINEOSの工場をJVから除くという改正案を当局に提出した。
2014/3/5 Solvay とIneos、欧州塩ビ事業統合で対案提出
その後、両社と欧州委員会で交渉が続けられ、欧州委員会は5月8日、両社の案を一部修正した条件で、本件を承認した。
JVは市場支配力と価格支配力を持つこととなるため、いくつかの工場をJVから分離・売却し、その購入者がPVC事業でJVと競合しうるようにした。
JV設立は2014年第4四半期で、それまでに売却を実施する。JV設立までは両社が別々に事業を行う。
JVから除外し売却する工場は以下の通りで、全てIneosの工場である。
対象工場 | 当初の両社提案 | 最終決定 | 各工場の由来 |
PVC |
Beek, Geleen (蘭) |
Tessenderlo Groupから買収 | |
PVC | Mazingarbe (仏) | ||
PVC | Schkopau (独) |
- |
旧EVC(BSLのプラントを買収、増設) |
PVC/VCM |
ー |
Wilhelmshaven(独) | 旧EVC(当初 ICI) |
電解/EDC/VCM | Tessenderlo (ベルギー) | Tessenderlo Groupから買収 | |
EDC |
ー |
Runcorn (英) | 旧EVC (当初 ICI) |
《電解》 |
ー |
Runcorn (英) |
注) 英国のRuncorn については、EDC工場を売却するとともに、電解工場についてはEDCの購入者と新JVとの間のJVとする。ベルギーのTessenderloは漂白剤も製造する。
新しいJVの工場は以下の通りとなる。
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