両社は他の自動車部品メーカー(大部分は日本メーカー)とともに米国司法省との間で司法取引を行い、罰金を支払っているが、それとは別に自動車部品の需要家や自動車ディーラー、消費者等から訴えられていた。
自動車部品カルテルでの最初の集団訴訟は2011年12月に過去にワイヤーハーネスのメーカーであった米国のMartinez
Manufacturing Inc.に対してである。
その後、司法取引を行った各社に対し、訴訟が行われた。
2013年2月に日本精機が初めて和解に応じ、600万ドルを支払った。
本年5月には米国のLear Corp.がwire harnessesでの価格カルテルの集団訴訟で875万ドルで和解した。
同社は米国司法省の調査を受けたが、司法省が訴追を取り止め、当然罰金も支払っていない。
Lear Corpは集団訴訟裁判で、原告側はLearのマーケットシェアや、共謀の機会があったこと、業界の構造、他のメーカーが有罪を認めたということを主張するだけで、同社がカルテルに加わっていたことを立証していないとし、訴えの却下を要求したが、裁判長は認めなかった。
同社は和解後も本件では法律に違反していないと主張している。
本年6月にはスウェーデンのAutoliv Inc.が65百万ドルで和解した。
日本精機もAutolivも司法取引での罰金額よりもはるかに多い額での和解である。
他の多くのケースは裁判の初期段階にある。
本年2月には、パナソニック、日立オートモティブシステムズ、ミツバの3社に対し、別の集団訴訟が出された。
和解の実績は以下の通り。
司法取引での罰金 | 集団訴訟 | ||
日本精機 | 自動車用計器 | 2012/8 1百万ドル | 2013/12 和解額 6百万ドル |
Lear Corp. | wire harnesses | ---- | 2014/5 和解額 8.75百万ドル |
Autoliv Inc | seatbelts, airbags, steering wheels | 2012/6 14.5百万ドル | 2014/6/3 和解額 65百万ドル |
矢崎総業 | wire harnesses |
2012/1 470百万ドル 社員6名が禁固刑と罰金 |
2014/6/4 和解額 非公表 |
TRW Deutschland | seatbelts, airbags, steering wheels | 2012/7 5.1百万ドル | 2014/6/4 和解額 非公表 |
自動車部品カルテルは2010年2月に日米欧豪加で同時に調査が開始された。
日本の公取委は、ワイヤハーネスについて住友電気工業、古河電気工業、矢崎総業などに立入り調査を行い、調査を進めた。
EUはワイヤーハーネスについてLear Corp.、Leoni AG、その他の企業の調査を行った。
米FBIは矢崎、デンソー、東海理化の米本社の立ち入り調査を行った。
米国では現在、27社が司法省と司法取引をおこなって罰金を払っている。
このほか、各社の社員32名が訴追され、うち23名が禁固刑を受け入れた。(残り
9名は恐らく日本在住で、裁判を受けていない)
2013/10/1 米司法省、自動車部品カルテルで更に9社、2名と司法取引
公取委は自動車用ワイヤーハーネス、自動車用部品で課徴金を課した。
2012/1/28 公取委、自動車用ワイヤーハーネスのカルテルで課徴金
2012/11/24 公取委、自動車メーカー発注の自動車用部品コンペ参加業者に 排除措置命令と課徴金納付命令
EUも2013年7月にワイヤーハーネスのカルテルで、2014年3月には自動車用ベアリングのカルテルで制裁金を課した。
ワイヤーハーネスのカルテル(千ユーロ)
矢崎総業 125,341 各社とも協力度合いに応じ、20-50%の減額
他に、争わないことで10%減額古河電工 4,015 SYS 11,057 Leoni 1,378 住友電工 0 自己申告で制裁金 291,638千ユーロ免責 計 141,791
ベアリングカルテル(千ユーロ)
減額
制裁金 Leniency Settlement ジェイテクト 100% 10% 0 日本精工 40% 10% 62,406 NFC 30% 10% 3,956 NTN 10% 201,354 SKF(スウェーデン) 20% 10% 315,109 Schaeffler (ドイツ) 20% 10% 370,481 合計 953,306
settlement はこの決定を争わないことによる減額
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