BP、ロシア制裁開始後にRosneft との関係を強化

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EUは6月27日の会議で、ウクライナの親ロ派に対し、停戦検証の仕組みや国境の実効的な管理、ウクライナ当局への国境検問所3カ所の返還、捕虜解放、ポロシェンコ大統領の和平計画履行に関する実質的な協議開始について、6月30日までに合意するよう求めた。

ウクライナのポロシェンコ大統領は、親ロシア派との停戦合意が期限切れを迎えたことを受け、停戦を7月1日に終了すると表明した。

ロシア、ウクライナ、仏、独の4カ国外相は7月2日、ウクライナ情勢をめぐり会談し、ロシアとウクライナが新たな停戦合意を目指し、5日までに親ロシア分離派を交えた3者協議を開くことで一致した。


EUは、親ロシア分離派が緊張緩和に向けた行動をとらなければ、対ロシア制裁を拡大し、資産凍結の対象となる個人や企業を広げる可能性がある。

しかし、エネルギー分野においては、欧州の企業はむしろ、ロシア企業との関係を強化している。
制裁の開始後も、Total、BP、Statoil、ExxonMobil などのトップがロシアを訪問しており、ロシアとのビジネスの重要性を示している。
  各社の状況 
2014/5/3 ウクライナ問題でのロシア制裁の影響 

BPは5月24日にRosneft との間でボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区 などの開発を推進する覚書を締結したが、6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

BPはRosneft に19.75%を出資し、CEOのBill Dudley など2人がRosneft の取締役になっている。

2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収

BPのBill Dudley CEOは今回、「Rosneftが制裁対象ではない。ロシアの事業には影響はない」と語っている。

Rosneftは企業としては制裁リストに入っていないが、同社の Igor Sechin CEO は米国からビザの停止と米国資産凍結の措置を受けている。

 Igor Sechinは「米国に資産がないので問題ない」とし、「アメリカをバイクで横断したかったが、出来なくなって残念」と述べた。

米国務省によると、米国民は一般的に制裁ブラックリストに載った人物と取引することを禁止されるが、BPのBill Dudleyは米国市民である。

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BPとRosneftは5月24日、ボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区 などの開発を推進する覚書を締結した。調印式にはPutin大統領が出席した。

両社はRosneft 51%、BP 49%のJVをロシアに設立し、共同でパイロット計画を実施、成功の暁には共同開発を行う。

今回、BPはRosneft がこれまでにドマニク累層の開発に使った費用の一部を負担し、ライセンス鉱区の2箇所で実施するパイロット計画のため3億米ドルまでのファイナンスを行う。


ロシアではソ連時代からシェールオイルなどを「採掘が困難な石油」と呼んでいる。

ロシアはこのような油の採掘に必要な、技術の応用条件を整えるために、税制改革を始めた。
2013年末、バジェノフ累層、アバラク累層、ハドゥム累層、ドマニク累層の4累層の難採油の鉱床について、鉱物採掘税を10~15年免税にした。

ドマニク累層の地域は下図の通り。

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BPは6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

少なくとも15億米ドルの前払いとなるが、世界の主導的金融機関が融資に応じた。

両社の長期の石油製品取引をバックアップするため、世界の8つの金融機関が20億ドルの前払い与信枠を与える契約に調印した。
これにはDeutsche Bank、Bank of China、Societe Generale、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行が含まれている。

BPへの出荷は7月に始まるが、Rosneftによると、更にいくつかの銀行が関心を示しており、与信枠は更に増える可能性がある。

但し、英国政府が一部保有するLloyds Bankは英政府が政治的に困惑するのを避けるため、15~20億ドルの与信枠供与を撤回した。

 



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