Dow Chemical は6月30日にテキサス州 Freeport のDow Texas Operations で年産150万トンのエチレンプラントの建設を開始した。2017年上期の生産開始を目指す。
会長兼CEOのAndrew N. Liverisは、このプラントは、付加価値の高いマーケット指向の事業での成長を可能とするため低コストで有利なシェールガスを利用するというDowの戦略の基本であると述べた。
同社では既に下記の誘導品の投資を発表している。
・次世代メタロセンEPDM(NORDEL™ )年産20万トン
2012年10月、DowはメタロセンEPDMのプラント建設を発表した。
2016年の稼動を目指している。
・High Melt Index Specialty Elastomers 年産32万トン
ホットメルト接着剤用
・ 高機能性ポリエチレン樹脂(ELITE™)年産40万トン
Dowの INSITE™触媒技術を使った伸縮性、低温ヒートシール性、押出特性および加工性能を持つポリエチレンで、Enhanced PE (EPE) と呼んでいる。
・新しいスペシャルティLDPE 年産35万トン
同社は既にDow Texas Operationsでプロパン脱水素による新しいプロピレンプラント(年産75万トン)を建設中で、既に30%完成している。2015年に生産開始の予定。
2012/3/12 Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定
同社では、Freeportにおけるワールドスケールのエチレン、プロピレンプラントの建設は、コスト面で有利な原料とPerformance Plasticsなどの同社の高マージンの川下事業を結びつけるもので、フル稼働時には25億ドルのEBITDA(金利・税金・償却前利益)を上げ、磐石な基盤となるとともに、Dowの市場での競争力を更に強化するものとなるとしている。
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Dowは2006年3月に、原料高騰、値下がりにより収益性が低下していた基礎部門の強化を"Asset light" strategy により行う方針を明らかにした。
各社が原料高騰の影響を受けやすい汎用製品事業を売却するのに対し、Dowは基礎部門の新規事業を他社とのJVで実施するだけでなく、既存事業についても分離して他社とのJVにしようとするものである。
Kuwait Petroleum Corporation と50/50JVの MEGlobalを設立してダウの設備を出したのをはじめに、2010年に スタイロン事業を売却、三井物産と折半出資でテキサス州フリーポートで 電解事業を行う合弁を設立している。
Dowは2007年12月に、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間で、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売する グローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。
しかし、2008年末にこれは一転して 破談となった。(事業のうち、PCはスタイロン事業の一部として売却)
しかし、米国のシェール革命で同社は国内事業の方針を変換した。
Dowは2011年4月にエチレンとプロピレンの能力増強を発表した。
MarcellusやEagle Ford
のシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance
Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。
具体的な計画は以下の通りで、エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとし た。
エチレン
・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)
プロピレン
・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)
2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表
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参考 2014/6/20 Chevron Phillips Chemical、年産50万トンのPEプラント2基の建設着工
2014/6/20 ExxonMobil もエチレンとポリエチレン工場の建設開始
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