今後6ヶ月から9ヶ月を目途に手続きを完了する予定だが、本買収に関する財務情報の詳細は公開していない。
DSMは既存のスコットランドのDalry工場のビタミンCプラントを維持しつつ、江山製藥にサステナビリティや環境などに配慮する経営文化と品質管理のノウハウを注入してビタミンCの供給体制を増強、DSMが手掛けるHuman Nutrition & Health(健康食品やサプリメント向け)、Animal Nutrition & Health (動物用飼料向け)、Personal Care(化粧品向け)の3部門において、ビタミンC市場でのポジショニングをより強固にすることができると期待している。
江蘇江山製藥有限公司は1990年に中国・江蘇省に設立された。従業員は1,850名で、主力製品であるビタミンCの年間売上は約9000万USドル。
同社のもう一つの部門は消費者向けの栄養製品部門で、これは今回の取引に含まれない。
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DSMは欧州唯一のビタミンC製造メーカーである。
DSMは2003年にRoche
のビタミン、カロテノイド、クエン酸、その他のファインケミカルのVitamins & Fine Chemicals
Divisionを19.5億ユーロで買収した。
Rocheは1938年にビタミンCを初めて合成した企業である。
DSMはこの取引でスコットランドのDalry工場と米国New
Jersey州のBelvidere工場を引き継いだ。
しかし、後者については2005年に閉鎖し、現在はスコットランドだけで生産している。
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欧州ではBASFがデンマークでビタミンCを生産していた。
BASFは2000年に武田薬品とビタミンバルク事業で提携した。
① 日本では両社によるビタミンバルク事業のJV BASF武田ビタミン(武田薬品 34%、BASF 66%)を新設
② 武田薬品の海外子会社(タケダ・フード・ビタミン米国、タケダ・ヨーロッパ、タケダ・フード・ビタミン・アジア)全株式をBASFに譲渡
③ 武田薬品のビタミンC、B1、B2、B6、葉酸等のビタミンバルク製造技術・特許をBASFに譲渡
④ 武田薬品は、光工場でビタミンバルクの生産を一定期間継続し、その全量をBASFへ供給武田薬品は2006年1月、BASF武田ビタミンの全株式(34%)をBASFジャパンに譲渡した。
BASFは武田から引き継いだNorth Carolina 州 Wilmington のビタミンC合成ラインを2002年に停止した。
同社は2005年にデンマークのGrena工場でのビタミンCの生産を停止した。
BASFは1995年に東北製薬とのJV BASF Vitamins を設立し、2000年に出資を70%から98%にし、2005年に100%とした。瀋陽市に工場を持つ。
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両社が各工場を閉鎖したのは、中国勢の安値攻勢に負けた結果である。
世界のビタミンC需要の 90% を中国メーカーの江蘇江山製薬、東北製薬、石藥集團維生藥業(石家莊)、河北Welcome(维尔康) 製薬などで製造している。
今回、BASFに続き、DSMも中国に進出する。
米司法当局は2012年に中国製のビタミンCの価格カルテル調査を開始した。米国の需要家の訴えによるものである。
裁判では、被告側は価格カルテルの存在は認めたが、中国政府に強いられたと弁解した。中国商務部もこの主張を裁判で認めたが、原告は政府の命令ではなく、自発的なカルテルだと主張した。
一部は裁判に到る前に和解、一部は裁判中に和解、残りが2013年3月に3倍増の罰金を言い渡された。
江蘇江山製藥 | 裁判前に和解 |
東北製薬 | |
香港の中国製薬集団(石薬集団) 傘下の維生薬業 |
22.5百万ドルで和解 |
華北製薬集団 傘下の河北维尔康製薬 |
損害認定 54百万ドル 判決 3倍増 162.3百万ドル |
石藥集團維生藥業(石家莊) (CSPC Weisheng Pharmaceutical) |
河北维尔康製薬は華北製薬集団と香港の三威國際企業(Triple
Well International)のJVである。
英文名はHebei Welcome Pharmaceutical だが、英国のWellcome
とは無関係。
アメリカでビタミンの価格カルテルが摘発されたのは、これが二度目である。
1999年に米、スイス、独、日、加の合計11社に総額 9億1050万ドルの罰金が課せられた。
武田薬品 72百万ドル 事業をBASFに売却 エーザイ 40百万ドル 第一工業製薬 25百万ドル Roche 500百万ドル 事業をDSMに売却 BASF 225百万ドル Merck 14百万ドル Degussa-Huls 13百万ドル Lonza 10.5百万ドル
各社はEUでも2001年に総額8億5522万ユーロの制裁金を課せられている。
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