東レの連結子会社の韓国の東レ尖端素材(Toray Advanced Materials Korea)は、2013年11月6日、熊津ホールディングスほかとの間で熊津ケミカル(Woongjin Chemical)の株式56.2%を4,300億ウォンで取得する契約を締結し、2014年2月28日に全ての手続きを完了した。
熊津ケミカルは2014年4月にToray Chemical Korea
Inc.と改称した。
2013/10/3 東レ、韓国 ウンジンケミカル買収へ
米司法省は7月9日、Toray Chemical Korea(旧称 熊津ケミカル) がDuPont の情報の窃盗事件にからみ、2,058千ドルの罰金支払いとコンプライアンス強化、調査への協力に同意したと発表した。
司法省はこの事件の情報と2年間の起訴猶予合意(deferred prosecution agreement)を裁判所に通知した。
熊津ケミカルは ポリエステルフィラメント、ポリエステルファイバー、チップ、繊維、水処理フィルター、A-PET シート(無延伸フィルム)、アラミド繊維等の製造・販売を行っている。
報告によると、熊津ケミカルは同社のメタアラミド繊維のArawin® 開発に注力し、DuPontのメタ系芳香族ポリアラミドNomex®に対抗しようとしていた。
2011年1月から11月にかけて、熊津ケミカルは Arawin の改良のため、Nomex、特に Nomex paper
の製造プロセスに知識を持つDuPont退職者をコンサルタントして雇用しようとした。2人のDuPont
退職者が韓国を訪問し、その際、熊津側は強く情報開示を求めた。
Nomex paperはアラミドポリマーからフロック(短繊維)とファイブリッド(合成パルプ)を作り、これを水中に分散させて抄紙機にかけて製造される。
この後に高温・高圧でカレンダー加工を行い、高密度化をはかり内部結合力を高める。
この結果、高温下でも機械的、電気的に優れた紙が出来上がる。日本ではデュポン帝人アドバンスドペーパーが製造している。
DuPont は2011年にこの動きを察知し、FBIに相談した。
その後、熊津はFBIがDuPont情報窃盗容疑で2人の元従業員を調べていることを知った。
起訴猶予合意には、Toray Chemical が政府の調査に全面的に協力し、改善策を取ったことが記されている。
ーーー
DuPont のアラミド繊維の営業秘密を巡っては、韓国のKolon Industriesが争っている。
DuPontは2009年2月にKolon を商業秘密盗用で訴えた。
これに対し、KolonはDuPont技術の盗用を否定、自社技術で生産していると反論していた。
米国連邦第4巡回区控訴裁判所は2014年4月3日、「Kolonが敗訴した一審判決は無効であり、再審を命じる」との判決を下した。
これにより、KolonがDuPontに920.3百万ドルの賠償金を支払うよう命じるとともに、全世界で20年間、アラミド製品の生産や販売を禁止するとしていた判決は破棄された。
2014/4/8 DuPont と韓国Kolonのアラミド繊維の技術盗用裁判、差し戻し
コメントする