中国、アイスランド、スイスとのFTAが発効

| コメント(0) | トラックバック(0)
 

中国とアイスランド、中国とスイスのFTAが7月1日に発効した。
中国としては8番目、9番目のFTAで、欧州の国との締結はこれが初めて。

アイスランド

2013年4月15日、中国の李克強首相は、訪中したアイスランドのシグルザルドッティル首相と会談し、FTAを締結した。

中国はFTAを通じた経済協力の見返りに、アイスランドから中国が北極圏開発に発言権を持つことへの支持を取り付けた。

中国は、北極圏を通過してアジアと欧州を短距離で結ぶ北極海航路の開発など、北極海進出に意欲を示している。

北極圏開発のルールづくりを各国が話し合う北極評議会は2013年5月、中国と日本、韓国、インド、イタリア、シンガポールの6カ国を評議会の「オブザーバー」に加えることを決めた。

アイスランドの国家エネルギー機関(Orkustofnun)は2014年1月22日、中国海洋石油(CNOOC)に対し、北極圏での石油開発の認可を与えた。

2014/3/7  中国海洋石油(CNOOC)、北極圏油田開発に参加

また、中国は、地熱探査やグリーンエネルギーなどの分野での協力強化、氷河や火山、地震などの共同研究と技術協力、海洋と極地共同研究センターの構築に力を入れていきたいとしている。

2014年7月1日、中国・アイスランドFTAが発効した。

アイスランドは中国から輸入するすべての工業製品および水産品の関税をゼロにする 。
これらは中国の対アイスランド輸出総額の99.77%を占める。

中国はアイスランドから輸入する関税分類で7380種類の製品にゼロ関税を実施 する。
これらは中国のアイスランドからの輸入総額の81.56%を占め、アイスランドの主要輸出品の水産品も含まれている。

ーーー

スイス

中国とスイスのFTAは2013年7月6日に調印され、2014年7月1日に発効した。

スイスは欧州大陸および世界の経済国上位20カ国の中で、初めて中国とFTAを締結した国。

スイスは 中国の99.7%の輸出に対し、直ちにゼロ関税を実施する。
中国の工業製品に対する関税を撤廃し、農産品に対しても、ゼロ関税または関税の大幅減免を実施する。
スイスがFTAのパートナーに対して農産品市場をこれほど大幅に開放するのは初めて。

中国はスイスの84.2%の輸出に最終的にゼロ関税を実施する。
医薬製品、チョコレート、チーズ、電子機器、機械といった製品への関税も大幅に引き下げられる。
スイス製の腕時計に課す輸入税を今後10年間に60%引き下げる

中国は、スイスの先進的な時計の検査測定技術の導入を拡大し、中国の時計産業の発展レベルを引き上げる。
両国は漢方薬協力対話を展開し、漢方薬の「走出去」(中国企業の海外進出)を推進する。

政府調達、環境、労働者と就業の問題に関する協力、知的財産権、競争など、中国がこれまでのFTAの協議で直面することの少なかった規則に対し、たとえ国際基準がなくても、これを避けることなく「求同存異」(相違点は残し共通点を求める)の原則に照らし、多くの共通認識に達 した。
 

中国は、スイスにとってEU、米国に次いで3番目に大きい輸出相手国で 、2012年のスイスの中国向け輸出額は78億3000万スイスフラン、中国からの輸入額は102億9000万スイスフランだった。

ーーー

中国がこれまでに締結し、発効済みのFTAの相手国は以下の通り。 

  シンガポール   2004/11 発効
  チリ   2006/10/1 発効
  パキスタン   2007/7 発効
  ニュージーランド   2008/10/1 発効
  ASEAN   2010/1/20 発効
  ペルー   2010/3 発効
  コスタリカ   2011/8/1 発効


他に、下記の協定(地域間のFTAに相当)がある。

 香港 経済連携緊密化協定(CEPA)   2004/1/1 実施
 マカオとの経済連携緊密化協定(CEPA)   2004/1/1 実施
 台湾との海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)   2010/9/12発効
     

 
 
 

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/2570

コメントする

月別 アーカイブ