韓国の大宇造船は7月8日、 大宇造船海洋 (Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering ) がカナダ、中国、日本の海運会社と17万立方メートル級ARC7 砕氷LNG船9隻に対する受注契約を締結したと発表した。
西シベリアのYamal ProjectのLNGを輸送するためのもので、 カナダのTeekay Corporationと中国の中国液化天然気合資企業(China LNG)が合弁で設立したTK &CLNGが6隻を、日本の商船三井(MOL : Mitsui O.S.K. Lines)と中国海運(集団)総公司 (China Shipping (Group) Company) が合弁で設立したMOL & CSLNGが3隻を発注した。受注総額は28億4000万ドルに上る。
Yamal LNG は合わせて16隻の砕氷LNG船を発注する方針で、大宇造船は3月にロシア国営海運会社 Sovcomflot から最初の1隻を受注し ている。同社の受注はこれで10隻となる。
Putin大統領が国産を強く主張し、大宇造船の受注が一時棚上げになった。
ARC7 は最大2.1mの厚さの氷を砕きながら運航できるLNG運搬船で、氷点下52度まで耐えられるよう、外部パイプラインを船内に配置し、船員移動通路に熱線処理をするなど防寒処理技術を適用する。
新造砕氷LNG船の概要 | |
主要寸法 | : 全長 299m、幅 50m |
船型 | : 172,000m³メンブレン型 |
アイスクラス/仕様 | : ロシア船級 ARC7 / 極寒地を対象とした特別仕様 |
砕氷航行能力 | : 船首砕氷バウ構造、船尾3軸PODプロペラ 最大砕氷能力 氷厚2.1m (後進時) |
造船所 | : Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co., Ltd. |
これらの船は2020年上半期までに建造され、西シベリアのヤマル半島の天然ガスを開発するYamal
Project に投入される。
Yamal LNGプロジェクトは北極海に面するオビ川河口にあるが、1年のうち9カ月は氷に閉ざされる。
最大氷厚2.1mの氷海において単独砕氷航行可能な仕様となっており、ロシア・ヤマル半島サベッタ港のYamal LNG基地から、通年にわたり世界各地への輸送に従事する が、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航される。
ヤマル半島から日本までは約18日、欧州までは約11日で航海する。
北米ガルフコーストからパナマ運河を経由してLNGを輸入するのに約25日必要とされ、ヤマル半島からはこれより7日早く運べることとなる。
また、欧州 から日本までは、従来のスエズ運河経由 で約40日かかるが、北極海航路では約30日と、10日短縮できることとなる。
商船三井では、「世界で初めて砕氷LNG船を使用した本プロジェクトへの参画は、当社にとって大きなマイルストーンになる。北極海航路における過去に例のない大型プロジェクトで 、このプロジェクトへの参画を通じて、北極海航路運航のために必要なノウハウおよびリソースを蓄積して、当社事業の核である海上輸送サービスの一層の充実と拡大に取り組んでい く」としている。
Yamal LNG はYamal半島のSouth
Tambey ガス田を開発する。推定埋蔵量は1兆2500億m3で、年間1650万トンのLNGの生産が可能。
LNG基地を含む投資額は200億ドルとされる。
Yamal LNG にはロシア天然ガス2位のNovateが60%を出資、フランスのTotalが20%、中国のCNPCが20%を出資する。
日揮がフランスのTechnipと共同で、このLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等を受注している。
同地に多機能海港のSabetta港の建設が進められており、LNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。
2013/4/8 日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注
北極海航路が航行可能となる7月から11月は東側へ船を進め、ベーリング海峡経由で日本等に輸送する。西欧へは通年輸送する。
ロシア海運最大手ソフコムフロートは2010年8月25日、北極海を初めて横断航行している同社傘下の大型タンカーBaltika が北極海航路の難関部分の通過に成功し、ロシア東端のチュコト(チュクチ)自治管区Pevekに達したと発表、「大型船舶の運航の可能性が実証された」と表明した。
タンカーは北欧に近いMurmanskを出港。天然ガス副産物の軽質原油コンデンセート約7万トンを積み、数隻の砕氷船を伴い、難関部分の約2,500カイリを予定より早い11日間で航行、今後の運航に役立つデータも集めた。
2010/9/1 北極海横断航路で初輸送
2012年11月7日には、GazpromがStatoilの生産したLNGをノルウェーのHammerfestでLNG船オビ・リバー号に積み込み、ベーリング海峡を通り、12月5日に北九州市戸畑区の港に到着した。原子力砕氷船を同行させた。
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