バイオ燃料生産拠点確立事業、本年度で支援打ち切り

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農林水産省は7月9日、バイオ燃料生産拠点確立事業における3地区(北海道2地区、新潟県1地区)に対する支援について、平成26年度予算限りとすることを決定したと発表した。

2014年2月に設置した外部有識者からなる「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会」が検証を行い、5月9日に「自立化、事業化は難しい」との報告書を取りまとめた。
 

河野太郎衆院議員の「ごまめの歯ぎしり」(2014/7/11) によると、経緯は以下の通り。


農水省は、2007年から北海道二か所、新潟一か所で行われている国産バイオエタノール製造・販売事業に支援をしてきた。

しかし、2007年度から2014年度まで218億円の補助金を投入しながら、三か所のいずれも事業化のめどが全く立たないという状況であった。

それどころか毎年、20億円を超える補助金がこれからも延々と突っ込まれかねない状況にあった。

自民党のムダボチーム
「無駄撲滅プロジェクトチーム」:河野太郎座長)は、昨年12月のヒアリングの結果、この事業の検証を農水省に命じた。

農水省は、これを受けて外部有識者による検証委員会を立ち上げて、今後の事業化の可能性を検証した。

この間、3つの事業主体に対して、検証委員会は事業の計画を作り直しを求めたり、さまざまな努力をした結果、自立化、事業化は難しいという結論を出した。

これを受けて、農水省はムダボチームに、今年度限りで事業を打ち切ることを報告し、チームも了承した。

「国策にそって取り組んできた事業だけに...」というコメントも事業主体からあったが、国策だから赤字を垂れ流してもかまわないということにはならない。


今回は、農水省が極めて前向きに、素早く対応し、検証委員会も省庁の有識者会議とはこんなものという常識を覆すような目覚ましい活動をしてくれたことを特記しておきたい。


バイオ燃料生産拠点確立事業の概要と検証委員会が指摘する問題点は以下の通り。

3地区いずれも平成29年度以降の自立化・事業化という補助目的を達成することは困難と判断される。


 

    北海道バイオエタノール オエノンホールディングス
主原料①  計画 製糖向けてん菜
(交付金対象数量64万tを上回る生産部分)
米  @15/kg 一時的に政府所有米
最終は道産米 100%
現状 生産は64万トンをかなり下回り、余剰生産はなし     @39/kg 道産多収米 1%
問題点 余剰が発生するかどうか不確定なものを主原料とする構想 甘い想定価格 目論見は完全に破綻
主原料② 計画 規格外小麦 @15/kg  
現状                @27.5/kg
問題点

穀物価格は外部要因で変動するもので、価格高騰への対応策なし。

採算 楽観的ケース(エタノール価格 up、てんさい余剰4万トン等)のみ事業化可能というのは評価できない。 同左。
その場合も外部要因がわずかにマイナスに振れると赤字。

 

  新潟市(全国農業協同組合連合会)
特徴 (外部要因に左右されにくい生産及び販売体制構築)
・当初計画どおり地元産の原料(多収米)を量・価格とも安定的に調達
・自らバイオエタノール混合ガソリンを販売する体制を整備

(地域循環型エネルギーシステム構築)
多収米の生産からバイオエタノールの製造、バイオエタノール混合ガソリンの販売・利用及び発酵残渣の飼料等利用の全てのプロセスを一貫して新潟県内で。
問題点 (収支改善進まず。平成24 年度想定:304 円/L→平成24年度実績:654 円/L)
・施設規模が最大生産量1,000kL/年と小さい
・メンテナンス費用が想像以上に
・重油からもみ殻ブリケット燃料への転換の遅れ等


当初計画からバイオエタノール生産だけでは赤字が生ずることを想定しているのに、
補助事業終了後の計画がまとまっていない。
想定した取組に全て目途が立たなければ、バイオエタノール生産事業から撤退するということでは、補助事業を継続する意味がない。

 

検証委員会の指摘は当然だが、このことは計画当初から分かっている筈で、それにもかかわらず農水省が莫大な補助金を投入してきたことが問題である。

 

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