中国の三一重工 米国での買収めぐり米政府に勝訴

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米国で計画した風力発電所建設を中止させた米オバマ大統領の命令を不服として米国で提訴していた中国建機大手の三一重工は7月16日、「勝訴した」と発表した。
米裁判所は大統領令が正当な手続きを踏んでおらず、三一側の財産権を奪ったと判断した。

オバマ大統領は2012年9月28日、「国の安全保障に関わる」として、三一重工の役員2名が共同所有しているRalls Corp. によるオレゴン州の米海軍施設近くの風力発電企業4社の買収と所有を禁止し、2012年に取得した所有権を放棄することを求めた。
買収目的は、三一重工の子会社の Sany Electric が製造する風力発電タービンで風力発電を行うことであった。

Ralls Corp. の買収行為がアメリカの安全を脅かす可能性があると認識し、買収の阻止を命じたとしている。
近くの
米海軍施設(Naval Weapons Systems Training Facility)では遠方から自動操縦する無人飛行機と、爆撃機に同行して敵のレーダーを邪魔するelectronic warfare aircraftの訓練が行われている。

当初、米国の外国投資委員会(CFIUS)がこの取引をやめるよう命じたが、Ralls Corp.がこれを越権行為で違法であると訴えた。
このため、大統領がCFIUSの提言を基に命令した。

2012/10/4  オバマ大統領、米国内での中国企業の風力発電買収を阻止 

三一重工はこれを不服として、オバマ大統領とCFIUSを米コロンビア地区連邦地裁に提訴した。

「一枚の禁止令により、2000万ドル以上の直接的な損失が生じ(間接的な損失を含まず)、企業の対外的なイメージも損なわれる。提訴はやむなきことだった。誰も裁判を望んでおらず、当社は潔白を証明するため仕方なく訴訟措置を講じた」

「米国は何の説明もなく、中国の風力発電プロジェクトを無理やり中止させた。中国製の設備の使用を禁じた上、当社が米国人の経営する米国企業に譲渡するのを禁じ、補償すら行わなかった」


ワシントン州の米控訴審裁判所は7月16日、
地裁判決を覆し、3人の裁判官全員一致で、大統領の命令は正当な手続きなしで、Ralls Corp.の財産権を奪ったと判断した。
Ralls Corp. は政府が使用した情報にアクセスできず、政府の懸念に反論できなかったが、これは憲法の正当な手続きの権利の否定であるとした。
「正当な手続きでは少なくとも、当事者は政府が判断の基にした機密扱いでない証拠にアクセスし、それに反論する機会が与えられるべきである」としている。

この結果、Ralls Corp.は外国投資委員会が判断に使った機密扱いでない情報にアクセスでき、反論できることとなる。またその情報を公開できる。

現在のところ、政府が上告するか、裁判所に再ヒアリングを求めるのか、不明。
(米国では控訴審は再ヒアリングを行う場合がある)


外国投資委員会がこれより前に中国企業の買収阻止を命じたのは、1990年2 月に
George Bush大統領が行ったもので、China National Aero-Technology Import and Export Corp(中国宇宙航空技術輸出入公司)による航空機部品メーカーのMAMCO Manufacturing, Inc.の買収のみ。


 

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