トヨタ自動車と石川県及び石川・愛知両県の9つの農業法人は7月18日、トヨタが開発した農業支援システムを導入し、収益性の高い米作りに取り組む共同事業体「米づくりカイゼンネットワーク」コンソーシアムを発足させた。
トヨタが自動車生産で培った「カイゼン」のノウハウを生産性向上に生かすもので、
同社がコメの生産農業法人向けに開発した「豊作計画」を導入、更なる効率化と品質向上に向けた実証実験を推進する。
小規模農家や地主が大規模米生産農業法人に田植えや稲刈りなどの農作業を委託するモデルが拡大している。
農家や地主ごとに広範囲に分断して存在する水田を限られた人員と日数の中で効率的に作業を進めなければならない。
トヨタは2011年から大規模に稲作を請け負う愛知県の農業生産法人・鍋八農産とシステム開発に取り組んだ。
鍋八農産は800の農家から委託された2000枚の水田約170ヘクタールの農作業をこなしている。
これまでは書類や紙地図を使って作業割り振りを行っていたが、間違いも多く効果的な作業ができていなかった。
日本にはこのような農業法人が2万社ほどある。
トヨタは自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用し、生産プロセスの改善を行った。
「豊作計画」はクラウドサービスとなっており、米生産農業法人はスマートフォンやタブレット端末から簡単に利用できる。
システム中では、地図上に登録された多数の水田を複数の作業者が効率的に作業できるように、日ごとの作業計画が自動的に作成される。
この作業計画は、現場へ向かう個々の作業者のスマートフォンに配信され、作業者はGPSで作業すべきエリアを確認してから向かう。
そして作業の開始、終了時にスマートフォンのボタンを押すことで、共有のデータベースに情報が集まり、広域に分散する農作業の進捗の集中管理や、作業日報や請負先へのレポートの自動作成も可能となる。
農業法人では実際に働くスタッフは30代が中心で、スマホも扱える。
農作業だけでなく、それ以降の乾燥、精米等のプロセスもカバーしており、稲品種、稲作エリア、肥料条件、天候、作業工数、乾燥条件等の作業データとそれから得られた収量、品質データを蓄積し分析することにより、より低コストで美味しい米づくりに活用できる。
2012年から鍋八農産を含む愛知の4法人で「豊作計画」を試行、今年度から石川県の5法人が参加した。
現在は米生産農業法人が主に取り扱う米、麦、大豆などに対応しているが、将来的には、技術革新を進め対応作物を広げることで、国内の農業の活性化や競争力強化に側面的に貢献したいと している。
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農林水産省は、2014年度より農業界と経済界が連携して行う、低コスト生産技術体系の確立、ICT(Information and Comunication Technology)を活用した効率的生産体制の構築、低コスト農業機械の開発など先端モデル農業の確立に向けた取組を支援することを目的とし、「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」を実施している。
2014年度は公募に応じた33件から、トヨタの豊作計画を含め16件の連携プロジェクト実施主体を選定した。
http://www.maff.go.jp/j/press/keiei/keiei/pdf/140404_1-01.pdf
このなかには、愛媛県のグドウグリーンテックと住友化学などの「サンライズ先端農業コンソーシアム」があるが、これは、パナソニックのカメレオンコード(カラーバーコード)の活用と日産自動車の生産システム
住友化学は、農薬、肥料、農業資材等の農業関連製品やサービスを幅広く提供しており、安全安心で効率的な農業生産を総合的に支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」ビジネスを展開している。
そのビジネスを実践する一つの形として、長野・大分・山形・三重・茨城の5カ所で農業法人「住化ファーム」を展開し、果物や野菜を生産しており、愛媛県西条市と愛知県豊田市では、日本経団連が推進する「未来都市モデルプロジェクト」の先進農業モデルとして「サンライズファーム西条」「サンライズファーム豊田」を設立・運営している。
2014年3月にはサンライズファーム西条に地元企業各社とのJVでサンライズ西条加工センターを設立した。
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