米商務省は7月25日、中国と台湾のメーカーの結晶シリコン太陽電池製品に反ダンピング関税の適用を仮決定した。
商務部は6月3日に中国製の結晶シリコン太陽電池製品に反補助金関税を課す仮決定を行っている。
商務省は2014年1月23日、中国製の結晶シリコン太陽電池製品などに対して、再度、反ダンピング・反補助金調査を実施する決定を下した。
SolarWorld Industries America Inc.からの申請を受けたもの。米国国際貿易委員会(ITC)は2月14日、中国から米国に輸出される太陽電池が、米国の関連産業に実質的な損失をもたらしたとする仮裁定を下した。
米国は既に中国製の太陽光パネルについて反ダンピング、反補助金関税を課しているが、今回の対象製品はバッテリー、モジュール、合板、パネル、建築一体化材料などが含まれる。
中国大陸から輸入される同製品のほか、台湾製も反ダンピング調査の対象となった。
今回の反補助金、反ダンピング課税の仮決定の結果は以下の通りで、保証金が徴収される。(単位:%)
反ダンピングと反補助金はダブルため、重複分を除外して保証金が決められている。
反補助金(CVD) 反ダンピング(AD) 合計
保証金dumping
margin保証金 China Wuxi Suntech Power & affiliates 35.21 42.33 14.03 49.24 Trina Solar 18.56 26.33 10.74 29.30 Renesola/Jinko 26.89 58.87 55.49 82.38 調査協力41社 42.33 20.38 47.27 調査非協力 165.04 165.04 191.93 Taiwan Gintech - 27.59 27.59 Motech - 44.18 44.18 Others - 35.89 35.89
2012年11月に決まった米国による中国製太陽光パネルのダンピング税率は下記の通り。
最終決定 AD CVD 合計 Wuxi Suntech 21.19 14.78 35.97 Trina Solar 7.78 15.97 23.75 他の59社 15.42 15.24 30.66 他の全て 239.42 15.24 254.66
中国は太陽光パネル関連で米国及びEUと熾烈な争いを繰り広げている。
経緯: 2014/5/5 中国、EUの太陽光パネル用ポリシリコンの反ダンピング・反補助金調査でクロの最終決定
米国とEUは中国の太陽光パネルに反ダンピング、反補助金調査を行い、これに対し、中国は米国とEUの太陽光パネル用ポリシリコンについて反ダンピング、反補助金調査を行った。
中国はこれに加え、中国に対して強硬姿勢を示したフランスへの報復としてEU産のワインについても調査を開始した。
EUと中国は太陽光パネルとワインについて、それぞれ和解した。
米国は強硬で、太陽光パネルについて反ダンピング、反補助金を決めた後、中国が米国のポリシリコンに反ダンピング、反補助金を決めると、直後に今回の太陽電池製品の調査を開始した。
最終的には原料のポリシリコン(米国品)と中国・台湾の太陽電池製品、太陽光パネルの全てに課税され、米国の消費者は高い製品を使わざるを得ないこととなる。
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世界貿易機関(WTO)は7月14日、中国産の鉄鋼製品や太陽光パネルなどに対する米国の懲罰的輸入関税の適用は国際規則に違反するとの判断を示し、中国側の主張を一部認めた。
米国側による対応の裏づけが補助金・相殺関税に関する1964年の
Marrakesh合意に沿っていないとする中国側の主張を支持した。ただし一部主張については認めなかった。
WTOはまた、インド産の一部鉄鋼製品に対する米国の相殺関税適用についても、インド側の主張を一部認めた。
今回の決定は、WTOが米国のやり方を問題視した直後に行われた。
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