中国が日本の自動車部品メーカー12社にカルテルで制裁金

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国家発展改革委員会(NDRC)は8月20日、日本の自動車部品メーカー12社にカルテルで制裁金を課したと発表した。

「各社とも10年以上にわたって談合を繰り返していた。中国の消費者の利益を損なう悪質な違反行為だ」としている。

NDRCは制裁金のほか、各社に以下の行動をとるようを命じた。

 (1)中国の法律に従って販売政策と販売行為を見直す
 (2)全社員に独禁法関連の教育を実施する
 (3)競争を維持し、消費者の利益に貢献する行動を即座に取る

本日、ベアリング3社の制裁金を報告したが、今回の発表でジェイテクトにも制裁金が課せられたことが判明した。

各社の制裁金は以下の通り。

  制裁金  
電装部品
  日立 オートモティブシステムズ 全額免除 最初に通報し、重要証拠を提出
日本電装 1億5,056万元 2番目に通報し、重要証拠を提出、年間売上高の4%
愛三工業 2,976万元 2品目以上のカルテル、年間売上高の8%
三菱電機 4,488万元
ミツバ 4,072万元
矢崎総業 2億4,108万元 1品目(ワイヤーハーネス)のカルテル、年間売上高の6%
古河電工 3,456万元
住友電工  2億9,040万元
ベアリング
  不二越 全額免除 最初に通報し、重要証拠を提出
日本精工 1億7,492万元 2番目に通報し、重要証拠を提出、年間売上高の4%
ジェイテクト   1億0,936万元 輸出市場会議を提案、年間売上高の8%
NTN  1億1,916万元 2006年9月にアジア研究会を離脱したが、会合には参加、
年間売上高の6%
総合計 12億3,540万元  


制裁金合計は12億3,540万元で、約200億円で、
海外企業を対象にした中国の独禁法違反では過去最大の摘発となった。
最高額は住友電工の約48億円。

制裁金の根拠を見ると、一般が年間売上高の8%で、事情を勘案した割引が行われている。

 ・最初に通報し、調査に協力:免除
 ・二番目に通報し、調査に協力:4%
 ・単品のカルテル:6%
 ・カルテルから離脱(但し会合には参加):6%

ーーー

自動車用ワイヤーハーネスについては、2010年2月24日に日本、米国、欧州で同時に立入り検査等を受けた案件と同様の事案を、NDRCが調査していたもので、日米欧での処罰は下記の通り。

1)日本

公取委は2012年1月19日、トヨタ自動車等の自動車メーカーが発注する自動車用ワイヤーハーネス及び同関連製品の見積り合わせの参加業者らに対し、排除措置命令と課徴金納付命令を行った。

  排除
命令
課徴金額 (千円)   《 》は減免率
トヨタ
    向け
ダイハツ
     向け
ホンダ
    向け
日産
   向け
富士重工
    向け
合計
矢崎総業 5 4,979,950
《30%》
872,150
《30%》
2,763,500
《30%》
440,030
《30%》
551,500
《30%》
9,607,130
 
住友電気工業 738,610
《50%》
482,950
《50%》
880,660
《50%》
0
《100%》
2,102,220
 
フジクラ 1件 1,182,320
《30%》
 

1,182,320
 

古河電気工業 0
《100%》
0
《100%》
0
《100%》
0
《100%》
0
 
合計 12,891,670
 

古河電工は立ち入り検査前に最初に自主的に報告したため、課徴金を全額免れた。

矢崎総業の96億円は、1社に対する課徴金額として過去最高額

フジクラから課徴金納付命令に係る審判請求が行われたが、公取委は2014年6月9日、審判請求を棄却する旨の審決を行った。

2012/1/28  公取委、自動車用ワイヤーハーネスのカルテルで課徴金 

なお、光ファイバーケーブルと自動車用ワイヤーハーネスの2件の価格カルテルで課徴金合計88億円を支払った住友電工に対し、同社の株主が当時の経営陣に同額の損害賠償を求めた株主代表訴訟で、2014年5月7日、経営陣側計22人が同社に解決金5億2000万円を支払うことなどを条件に大阪地裁で和解が成立した。

2014/5/9 住友電工の株主代表訴訟が和解 


2)米国

自動車部品カルテルで多数の日本企業が罰金支払いで同意しているが、ワイヤーハーネス関係は以下の通り。

 

企業の罰金

従業員

禁固刑 罰金
古河電工 200 百万ドル 社員3人(1年と1日、15か月、18か月) それぞれ2万ドル
矢崎総業 470百万ドル 社員2人(各15か月)、2人(各2年)、
2人(各14ヶ月)
フジクラ 20百万ドル 2人が起訴されている。


2012/2/1   矢崎総業とデンソー、自動車用ワイヤーハーネス等のカルテル問題で米司法省と司法取引

2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意 

 

3)EU

EUの欧州委員会は自動車部品カルテルの摘発を進めているが、2013年7月10日、ワイヤーハーネスのカルテルに制裁金を課した。

  制裁金(€)
矢崎総業 125,341,000
古河電気工業 4,015,000
住友電気工業 0
S-Y Systems Technologies
(矢崎総業)
11,057,000
Leoni (ドイツ) 1,378,000
合計 141,791,000


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