Arkema、アクリル酸事業を拡大

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Arkemaがアクリル酸事業を拡大している。

同社は当初、フランスのCarlingに240千トンのアクリル酸プラントを持っていた。(その後、275千トンに増強)

同社は1999年7月に日本触媒との50/50 JV(American Acryl L.P.)を設立し、テキサス州Bayportにアクリル酸 120千トンプラントを建設した。
   日本触媒は隣接地に高吸水性樹脂 60千トンプラントを建設(テネシー州から移転)
   Arkemaは同地でブチルアクリレートの原料としている。

この時点では合計能力は300千トンであった。

同社は2010年1月にDow Chemical からテキサス州 Clear Lake のアクリル酸とアクリル酸エステルを買収した。

Dowは2009年4月にRohm and Haas を統合したが、統合により精製アクリル酸のシェアは40%、ブチルは75%、エチルは90%となるため、FTCから統合の条件として、いくつかの工場を売却するよう条件が付けられた。Clear Lakeはその一つで、元はDowの工場である。

2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

Arkemaは買収後、この工場を増強した。

1)アクリル酸の手直し 新公称能力 270千トン(2013年初め)
2)本年7月28日、メチルアクリレート 45千トンプラントがスタートアップしたと発表した。

これに加え、2012年初めにはテキサス州Bayport ではブチルアクリレート工場を2-Ethyl Hexyl Acrylate 工場(能力 40千トン)に変換しており、ブチルアクリレートはBayportに集中している

本年1月、Arkemaはシンガポールの昇立化工(SunVic Chemical Holdings Limited) から、江蘇省の江蘇裕廊化工 Jurong Chemical )の江蘇省泰興市のアクリル酸工場の権利を取得した。

SunVicは中国のアクリル酸、アクリル酸エステルの最大のメーカーで、江蘇省にアクリル酸525千トン、アクリル酸エステル 350千トンの能力を持つ。
アクリル酸については、鹽城市に205千トン、泰興市に2系列計 320千トンとなっており、後者では2015年第1四半期に第3系列の160千トンが稼動する。

SunVicは泰興市の2系列計 320千トンの設備をTaixing Sunke Chemical に移管し、ArkemaはSunke の株式の55%を買収し、両社のJVとする。

これにより、Arkema は先ず160千トンの引取権を取得する。
第3系列が完成し、合計能力が480千トンとなった時点で、Arkemaは全体の2/3の320千トンの引取権を持つ。
更に、Arkemaは残り1/3を取得する5年間のオプションを持つ。

オプションを行使した場合、Arkema の中国の能力は480千トンとなる。

この場合の同社の全世界の能力は以下の通りとなる。(千トン)

  2013年 2015年 option 行使
フランス Carling 275 275  
テキサス州Bayport 60 60  
テキサス州 Clear Lake 270 270  
江蘇省泰興市   320 480
合計 605 925 1,085

 

日本触媒によると、世界のアクリル酸の能力は下記の通りとなっている。

このところ、韓国勢の増強が続いている。
  
2013/12/24  LG Chem、アクリル酸とSAP増設に3億ドル投資、SK Globalもアクリル酸に進出

BASFの能力は119万トンだが、ブラジル構想もある。
  
2011/4/5 BASF、ブラジルでアクリル酸、ブチルアクリレート、高吸水性樹脂のコンプレックス構想


Arkemaの能力はBASFに次ぐ2位となる。

 



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