アース製薬、白元再建のスポンサーに

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白元は7月31日、同社のスポンサーとしてアース製薬を選定し、同社との間で、事業譲渡契約を締結したと発表した。

白元は約255億円の負債を抱え、5月29日付で民事再生手続きの開始を申し立てた。
スポンサーを選定の上、事業譲渡を実施することを検討し、スポンサーの募集・選定のための入札手続を実施してきた。

譲り受け価額は75億円で、白元アース製薬を8月8日に設立し、ここが事業を引き継ぐ。

白元をめぐっては、アース製薬のほかに日用品大手のエステーや投資ファンドなどが最終入札に残ったとされる。
7月下旬の最終入札ではファンドが100億円以上を提示したとの情報が流れた。

最終的には、債権者への弁済原資の極大化と、事業の再生・継続の確実性、従業員の雇用維持、ブランド維持の観点等から検討した上で、アース製薬を選定した。


白元は、1923年に防虫剤メーカーとして創業した。

防虫剤や除湿剤が主力だが、靴下を好きなところで止めることができ、ズレを防ぐ「ソックタッチ」や電子レンジで温める湯たんぽ「ゆたぽん」 、保冷枕「アイスノン」、高機能マスク「快適ガードプロ」、脱臭剤「ノンスメル」などユニークな品ぞろえで知られる。

衣料用防虫剤ではエステーに次ぐ第二位。

衣料用防虫剤シェア
     主要ブランド
エステー 49%  ムシューダ
白元 27%  ミセスロイド
キンチョー  9%  タンスにゴンゴン
アース製薬  8%  ピレパラアース
 その他  3%  

アースは白元を傘下に入れることで、シェアを35%とし、エステーを追撃する。アース社長は、「防虫剤のシェアでNo.1 を目指したい」としている。

 

白元は無理な拡大路線をとり続けたことから破綻に追い込まれた。

2000年ごろから、中国で現地法人を設立したほか、明治薬品工業、大三、キング化学などを立て続けに買収し、グループの拡大を進めていったが、効果は出ず、銀行からの借金は膨らみ続けた。

創業家出身の鎌田真氏が4代目の社長に就任した2006年ごろから「売り上げ至上主義」に拍車がかかり、返品を前提に需要を上回る大量の製品を卸会社に売る「押し込み販売」をしていたとされる。

業績悪化が続き、2013年4月には衣料用防虫剤「ミセスロイド」の開発で協力する住友化学が19.5%の株式を引き受け、再建を支援した。
本年1月には看板商品の使い捨てカイロ「ホッカイロ」の事業を、医薬品会社の興和に売却した。

しかし、資金繰りは改善せず、金融機関に資金支援を申し入れたが、交渉はまとまらず、破綻した。

ーーー

アース製薬は家庭用殺虫剤では国内市場で50%を超えるシェアを有するが、日用品分野を家庭用殺虫剤に並ぶカテゴリーに育成することが必要不可欠と考えている。
白元とのシナジーを創出することで、事業価値を最大限に向上させることが可能と判断した。

アース製薬は1892年の創業で、1970年に大塚製薬グループ入りした。
ごきぶりホイホイやアースレッドなどユニークな製品を持つ。

2012年2月には、Wise Partnersの運営するファンドなどが保有する入浴剤大手のバスクリンの株を買い取り、100%子会社とした。

芳香浴剤「バスクリン」は1930年に津村順天堂(現 ツムラ)が発売した。

ツムラはその後、 医療用漢方製剤を中心とする事業へシフトしたため、2008年にWise Partners支援を受け、MBOによりツムラグループから独立、㈱バスクリンとなった。


アースとエステーは2010年に、殺虫剤業界3位だったフマキラーをめぐり「争奪戦」を繰り広げた。

2008年にアース製薬が3位のフマキラーの筆頭株主になったことが報じられた。
フマキラーの創業者一族の大下(おおしも)高明氏が8.5%を所有するが、アースは市場で買い進め、わずかだがこれを超えて筆頭株主になった。

アース製薬では、株式取得はあくまでも「純投資」が目的、としたが、非公式に経営統合を打診したことを認めた。
アース製薬はその後、「フマキラー株の取得を継続する」とした。

これに対し、フマキラーは2010年5月13日、消臭芳香剤大手のエステーとの資本業務提携を締結したと発表した。

フマキラーはエステーを引受先に12.5%相当の第三者割当増資実施、これにより、
エステーのフマキラーへの出資比率は4.76%から15.1%になり、アース製薬(10.5%に低下)を抜き筆頭株主になる。

2008/1/23  アース製薬によるフマキラー株式購入


2011年2月、アース製薬はフマキラー買収を断念、持株を全てエステーに売却した。
これにより、エステーはフマキラーの25.69%保有の筆頭株主となった。

2011/2/14 アース製薬、フマキラー株式をエステーに売却、買収を断念


 

 

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