中国企業のニュージーランド牧場購入が問題に

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中国の食品大手の上海鵬欣 (Shanghai Pengxin Group)は8月1日、ニュージーランドの乳牛牧場の買収を進めていることを明らかにした。

子会社
Pure 100 Farm Limited を通じ、ニュージーランド北島中部のTaupoの近くの 13,800エーカーのLochinver農場を購入することで合意した。

同国のOverseas Investment Office はこの申請を受け付けたが、国民の反発を恐れ、9月20日の選挙が終わるまで秘密にされていた。
しかし、これが保守党党首の選挙演説で暴露された。「国民は裏で何が起こっているか知るべきだ。本件は明らかに選挙の争点だ。ニュージーランドは 'For Sale' の看板を下ろすべきだ」と述べた。

これを受け、上海鵬欣は契約したことを発表、既に購入した農場とのシナジーを求めてのものと述べた。

今後、Overseas Investment Office が申請を受け付けるかどうか、注目される。

 

上海鵬欣は2012年1月にニュージーランドに本社を置くCrafar Farms から北島の16か所の乳牛農場を1.64億米ドルで買収する件で、ニュージーランド政府の承認を受けた。
中国企業による初めての土地購入となった。

Crafar Farms は同国2位の家庭酪農農場で、8000ヘクタールの土地に2万頭の乳牛を放牧している。
2009年に破産保護を申請、16ヶ所の牧場、粉ミルク工場とニュージーランド大手乳製品メーカーFonterra の株式などの同社資産の売却を検討した。
2010 年7 月に上海鵬欣は買収意向を表明した。

鵬欣集団は同牧場で生産した乳製品を、中国やほかのアジア地域に販売する。

上海鵬欣は本年3月に中国当局からニュージーランド南島で合計4000ヘクタールの13の農場を運営するSynlait Farms Ltd の買収の承認を受けた。
上海鵬欣が74%の株を持つSFL Holdingsを通して買収した。

今回の買収が認められると、北島と南島に農場を持つこととなる。

中国の経済成長に従い、高品質の農産品の需要が急拡大し、中国企業は積極的に海外の農場や牧場を買収している。

鵬欣集団は2010年にボリビアのサンタクルス市の国有農場を2,720 万ドルで買収し、大豆など農産物を栽培している。

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中国企業による土地買収については、ほかでも問題となっている。

2011年11月に、アイスランド政府は、中国の不動産企業北京中坤集団(Zhongkun Investment)による広大な土地購入計画について、法的要件を満たしていないなどとして、購入を許可しないことを決めた。

マンション建設やリゾート開発を手掛ける北京の中坤集団はアイスランド国土の0.3%に当たる約300平方キロの土地を880万ドルで購入、リゾートを建設する計画を進めていた。土地所有者は売却に同意していたが、アイスランド政府が認めるかどうか審査していた。

広大な土地をチャイナマネーに買収されることに強い反発が起こり、政府は許可しないことを決めた。
外国企業によるこれだけ広い土地の取得は前例がないと説明、「アイスランドの独立性を守るため、外国人の土地取得の権利を制限することは必要と認めた」とした。

中坤集団の会長は旧建設省など中国政府での勤務経験があるため、空母建造を進める中国が「大西洋での戦略的な足掛かりを得るのが狙い」との観測がでていた。

その後、アイスランド政府が賃貸なら認めることとし、地方政府が土地を買収し賃貸するという契約が締結間近と報じられたが、最終的にこれも認められなかった。

2013年4月に発足したアイスランド新政権は「投資法」を改正し、土地売却を認める方向で検討しているが、反対も多い。

最近の報道では、中坤集団はアイスランドを諦め、ノルウェーでの観光事業を検討しているという。



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